園児の定員超過や少量の給食など不適切な保育実態が指摘され、問題となった姫路市の認定こども園「わんずまざー保育園」(廃園)で、1億円近い給付金を不正受給したとして、詐欺罪に問われた元園長の女(49)に対し、神戸地裁姫路支部は24日、懲役2年6か月、執行猶予4年(求刑・懲役4年6か月)を言い渡した。
元園長の女は2015年4月から約2年間、規定の48人を超えて60人~70人の園児を受け入れていたにもかかわらず少なく申告し、姫路市からの給付金約9,400万円をだまし取ったとされる。
検察側は論告で「子どもの安全や保育の質の低下を招いているにもかかわらず、一部の保護者から子どもを受け入れるよう要求され、断れずに定員を大幅に上回る園児を漫然と受け入れた。安全保育の担保である面積の基準に違反した」と指摘。
弁護側は弁論で「給付金をだまし取るために、園児の数を少なく申告したわけではない。給付金は一時保育の子どもらに対する保育の対価だった」などと反論、改めて無罪主張していた。
神戸地裁姫路支部は判決で「規定を超えた園児を受け入れる準備があるにもかかわらず、利用定員を隠していた。このような対応をしないと給付が受けられないという認識はあり、詐欺の実行行為に当たる」と認定、「保育所の業務を統括する立場にありながら、2年近くにわたり虚偽申告を続け、9400万円もの給付金を不正受給した犯状は軽視できないと」と非難した。一方、約6000万円の被害弁償や保育園を廃園したことなどを考慮し、執行猶予とした。
「わんずまざー保育園」をめぐっては約40人分の給食を70人で分け、おかずがスプーン1杯分しか行き渡らないなど不適切な保育実態が指摘され、不正受給も発覚した。