代打満塁本塁打日本記録を持つレジェンドバッターが仰木監督・イチロー選手との思い出を語る

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 元フジテレビアナウンサーで、兵庫県出身のフリーアナウンサー・田中大貴さんが、地元のラジオ局・ラジオ関西で、林歳彦さんとパーソナリティーを務めるラジオ番組『としちゃん・大貴のええやんカー!やってみよう!!』。その第6回目のゲストに、元阪急ブレーブス・オリックスブルーウェーブで活躍した藤井康雄さんが登場。現役時代はベストナインを2度受賞し、現役引退後もオリックスや福岡ソフトバンクホークスで打撃コーチを担当。野球解説者としても人気の高い「伝説のホームランバッター」に話を聞いた。

番組収録風景。写真右に藤井康雄さん
番組収録風景。写真右に藤井康雄さん

 現在は、アマチュアも教えることのできる学生野球資格回復制度を受講し、中学生・高校生を指導している、藤井さん。そのレジェンドを前に、「フジテレビ時代には1度も言えなかった『オリックスが大好きだ!』と今日は大声で言わせてもらいたい!」と興奮するのは、田中アナだ。少年時代、藤井さんの選手としての姿を当時のグリーンスタジアム神戸のスタンドで観ていたといい、「ファンサービス抜群の人間性の素晴らしい選手だった」。

 その藤井さんは、番組のなかで、自身が現役引退後「コーチ」に就任したときに「失敗した」と告白。「自分のやりかたを選手に教えるとダメになるとわかった。選手一人ひとりにはいろいろなタイプがある、違いがあることを感じ取った」。

 現役時代にはチームメイトのイチローさんのバッティングを間近で見て、いいものは取り入れようとしたが、「やってみて全く打てない、この打ち方は自分にはできない(苦笑)」という経験もした、藤井さん。

 パーソナリティーの「としちゃん」こと、経営に精通する林さんは、会社経営者を引き合いに出し「全員が松下幸之助氏・稲森和夫氏のやり方と同じことをやってもそのようにならない。でもやってみたい。トライ&エラーの繰り返しで成長するものなんだなぁ」と、藤井さんの経験談を聞きながら、実感を込めて話していた。

 番組恒例のゲストによるリクエスト曲では、藤井さんが現役時代に3曲出している中の1曲で『…洋子'99』をチョイス(※ミュージシャンの尾崎和行氏と仲が良いとのこと。1999年のカバー曲)。「目指せ! 根本要(スターダスト☆レビュー)だった(笑)」という藤井さんは、今もカラオケが大好きで良く歌うのだという。放送では藤井さんの伸びのある高音の美声の楽曲が掛かり、出演者・スタッフを驚かせた。

元オリックスの強打者として活躍した藤井康夫さん。写真は自身が歌うCD『…洋子'99』のジャケット
元オリックスの強打者として活躍した藤井康雄さん。写真は自身が歌うCD『…洋子'99』のジャケット
元オリックスの強打者として活躍した藤井康夫さん。写真は自身が歌うCD『…洋子'99』のジャケット
元オリックスの強打者として活躍した藤井康雄さん。写真は自身が歌うCD『…洋子'99』のジャケット(裏面)

 オリックスファンを自負する田中アナがすがるように「悩み事が1つあります……。どうやったら(オリックスバファローズが)優勝できるんですか?!」と尋ねると、藤井さんは、今季途中から監督代行として指揮をとり、現在は正式に監督に就任した同期の中嶋聡氏を称えながら、熱をこめてこう話した。

「中嶋聡監督代行でベンチの雰囲気が変わった。若手をたくさん起用している。この若手が来季以降もっと力を付けてもらいたい。また、選手の操縦術もうまい。あとは、いいスカウティングを期待したい。オリックスでいうところの吉田正尚選手クラスが数人必要。吉田選手ひとりであれば相手のピッチャーは楽である。

 その点、(ソフトバンク)ホークスは1番から6番、7番(打者)まで神経を遣わなければいけない。マークされるバッターが並んでいるとピッチャーは疲れるもの。オリックスはT-岡田(岡田貴弘)選手や安達(了一)選手あたりがしっかり引っ張って行って、若手が台頭してほしい。幸い(オリックスは)ピッチャーがいいので失点は少ない。逆に先取点を取って『2点3点取られてもいいんだよ』と楽に投げさせてあげたい。そんなゲーム展開で戦えば(来季は)面白くなる」

番組収録風景。写真中に藤井康雄氏
番組収録風景。写真中に藤井康雄さん

 さらに、阪神・淡路大震災直後の1995年にパ・リーグ優勝、1996年にパ・リーグ2連覇、同年日本一となった当時のオリックスの雰囲気や、「仰木マジック」の名で一世を風靡した仰木彬監督のことなどにも話はおよぶ。

「(仰木監督は)形にこだわらないというところが素晴らしい。(前に近鉄でトルネード投法の野茂投手を育てたように)イチロー独特の『振り子打法』などはいい例で『自由に、打てるんだったらどんな形でもいいや』といった寛大さがあった」

「データ重視の起用法。先発メンバーを日々変えていく」という仰木監督の戦術・戦略も紹介。藤井さんは「2ホームラン打ったのに、次の日にスタメンを外されたことがある。しかしながらその采配が『勝ち方』を追求した結果であり、それがどんどんハマって行き、最終的に優勝することができた」と振り返った。

 藤井さんは「代打満塁ホームラン4本」という日本記録の保持者。しかも1シーズンで3本も打てたのも、満塁の場面で代打に送り出してくれた仰木監督の采配のおかげだと語った。

 番組の最後、田中アナは「代打の極意を教えてください」と尋ねると、藤井さんは「嫌なプレッシャー、追い詰められた緊張感を持たずに、楽しめること。そして、今日(球場に)来ていただいたお客さんに喜んでもらいたい、『あ~いいもの見せてもらったと』と喜んで帰ってもらうことを念頭に打席に立つこと」と、その1球に懸けた想いを明かした。

「打たなければいけない」ではなく、「支えてくれているみなさんのために」。「利他」の精神が大事と、藤井さんの話に全員が納得。番組はタイトル通り、まさに「ええやんカー」と締めくくった。

(文:黒川良彦)



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藤井康雄さん(中)と、パーソナリティーの林歳彦さん(右)、田中大貴さん(左)

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