年末年始のご挨拶や進物として関西ではよく登場する、カステラ。小さい頃、小学校の教科書でも“南蛮渡来のお菓子”として紹介された記憶があり、どことなく海外の雰囲気を漂わせる。しかし、実際は日本のお菓子らしい。ということで、「カステラの老舗」、株式会社文明堂神戸店の代表取締役社長を務める片山智絵さんに話を聞いた。
片山さんはカステラについて、「もともとポルトガルよりスペインに近い地方のお菓子として、日本に渡来したもの。今、日本人が食べている同じ形状のお菓子は、ポルトガルやスペインにはない」と説明する。
また、カステラの名称も、由来はスペインの“カステリア”という地方の名前だという。その地域で作られているスポンジ菓子のようなものが、長崎に来た際に、日本独自の進化を果たして、現在に至るとのこと。なので、スペインに行って「カステラください」と言っても、名前も伝わらず、日本と同じ形状の商品は見つからない、ということになる。
ただ、ルーツをみても、“南蛮渡来のお菓子”であることは間違いなく、文明堂神戸店などで使われているイラストなども、教科書で見かける南蛮人らしいものが描かれている。日本人の心にはカステラ=渡来(海外)のものというイメージは長年刷り込まれてきたともいえる。文明堂のホームページには「お客様にとどけたい、やさしい日本の味」とあるように、日本人の多くが愛するカステラは、実は和菓子と言っても、過言ではないのではないだろうか?
※ラジオ関西『ばんばひろふみ!ラジオDEしょー!』2020年12月23日放送回より
株式会社文明堂神戸店
http://www.bunmeido-kobeten.co.jp/