これからの社会で実際に対面する機会が少なくなる以上、私たちはオンラインで誠実に生きていくことが重要になると思う。そこには権力や肩書に特権は無く、不適切な発言をすれば誰でも容赦なく炎上する、いわば平等で「密」の無い社会である。それは、日本文化が得意としてきた「あいまいさ」が許される寛容な社会ではなく、契約や論理性が重視される厳しい社会かもしれない。しかし、その中を生き残るためのキーワードは「女性性(女性らしく、という意味)」である。これまでの男性社会においては「人に助けを求める」のは恥ずかしいとされてきたが、むしろ今は人に助けてもらえることが大事であると発想を切り替えるのが重要だと思う。
例えば昔は事業を始めるために資金が無ければ、自分で何とかしなければならなかったかもしれないが、今は目的が明確であり使われ方が公正であればクラウドファンディングという手段で人に助けを求め、少額ずつ資金を調達することができる。なぜ助けてほしいかを正しく伝えられるコミュニケーションは「共感」という「女性性」だ。このほか「与える」よりも「受け取る」、「議論」よりも「雑談」、「おせっかい」、なども「女性性」だろう。これらの特性はこれまでは女性のことを揶揄するときに使われていた言葉だ。しかし今はこの特性を持てない経営者は吹きすさぶ嵐の中をたった一人で戦い続けなければいけないだろう。
これから私たちの前に広がる社会は既得権が幅を利かせる密閉した未来ではなく、クリアで解放された未来だと私は信じたい。
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◇河口 紅(かわぐち・くれない)
NPO法人さんぴぃす(芦屋市)理事長/株式会社教育情報マネジメント執行役員/兵庫県立大学非常勤講師「キャリアデザイン」
関西大学卒業後、(株)リクルートに入社。入社3年目から営業リーダーとしてチームを全国1位に導いた。退職後は2003年にNPO法人さんぴぃすを設立、起業。現在は「日本の子どもたちに世界一の教育環境を!」をテーマに2つの教育系NPO法人を経営。また母親としての女性のリ・チャレンジ支援に取り組んでいる。Facebook社#起業女子プロジェクト兵庫県担当トレーナーとして各地でWEBマーケティングセミナーなどを開催、女性起業家のネットワークづくりも手掛ける。