「新型コロナウイルス収束に限らず、それぞれの祈りを大切に」
西の比叡山として知られる姫路市の古刹、書写山円教寺で元日に新しい年への願いを漢字1文字で大書する「新春夢の書」。2021(令和3)年は「祈」と揮毫(きごう)された。
円教寺では2020年3月21日から毎日正午、コロナ退散祈願祈祷を続けている。
「新春夢の書」は円教寺で2008(平成20)年に始まり、大樹孝啓(おおき・こうけい)住職(96)がその年の世相を鑑み、人々の心の寄る辺となるべき漢字一文字を自ら選び揮毫する。昨年は「命」だった。
例年は、本堂・摩尼殿(まにでん)の外陣で大勢の参拝者が見守る中、約1.6メートル四方の大屏風に揮毫するが、今年は新型コロナウイルス感染症対策として参拝者の密集を回避するため、直前に収録されたYouTube動画を、年越しにインターネット配信した。
大樹住職は「祈」の文字について、「昨年(2020年)はコロナを外して頭に浮かぶものはなかった。これに対応する方法は数多くあれど、どこででもできる方法は『祈り』しかない。人間が無になる一瞬の状態ではないか。コロナ収束に限らず、それぞれの祈りを大切にしてほしい。ただし頼みっぱなしではなく、絶えず強い願いを込めて、一生懸命とした真剣な生活を続けることが神仏に通じる」と語った。
大屏風は1月中旬まで摩尼殿で展示。揮毫の様子は円教寺ホームページでも公開されている。
◆書写山円教寺 ホームページ
http://www.shosha.or.jp/