華道家元「池坊」(京都市中京区)で、室町時代から続くとされる新春恒例の行事「初生け式」が行われた。
新型コロナウイルスの感染再拡大の中で迎えた2021年、八坂神社の「かるた始め式」や下鴨神社の「蹴鞠初め」、茶道・三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)の「初釜」など京都の新春の風物詩が相次いで中止となるなか、 池坊では感染防止に配慮し、通常ならば門弟1500人規模で行うのを例年の10分の1程度に縮小し、13歳から89歳までの約170人の参加となった。
池坊の家元道場ではこのうち15人の門弟が晴れ着にマスク姿で、花ばさみの音を響かせながら寒菊や椿、葉牡丹や洋ランなどを生けた。
そして池坊専好・時期家元は「難を転ずる」という意味がある南天や雪柳、バラなどを使って、「新型コロナウイルスやそれによってもたらされた、さまざまな困難を乗り越えて明るい年になってほしい」という願いを込めて初生けを披露した。
参加した大学4年の女性(21)は「コロナウイルスの影響で世の中が混乱し、大きく変わろうとする中、新年を迎えることができた喜びを表現しました。チューリップがアクセントになり、春らしくて可愛らしい作品になりました。大学ではサークル活動もできず、いけばなのお稽古もできないままですが、初生け式で久しぶりに花と向き合えて良かったです」と話した。4月からは社会人として新たな一歩を踏み出す。