特殊詐欺の被害が収まらない。そこで兵庫県警は、外部委託したコールセンターからターゲットになりやすい高齢者などに直接電話をかけて、被害防止を呼びかける新たな取り組みを2月1日から始めている。
■「もう狙い撃ちさせない」
兵庫県警によると、2020年、兵庫県内の特殊詐欺の被害は1027件・被害総額は約16億6000万円と、2019年に比べて369件・約5億6000万円増加した(※速報値)。2021年は新型コロナウイルスのワクチンを優先的に接種できるなどとして、高齢者に現金を振り込むよう促す不審な電話など、新たな手口も確認されている。
この取り組みには、新型コロナウイルス対策として国が地方自治体に分配する「地方創生臨時交付金」約1100万円を活用した。コールセンター運営などを手掛ける「カスタマーリレーションテレマーケティング」(大阪市北区)に業務委託し、コロナの影響で就職が困難となった人たちを雇用するという。
■同時多発する「アポ電」、発生地域は徹底マーク
またコールセンターからの電話には、警察当局が犯行グループから押収した高齢者リスト(※兵庫県内で約9000人分)と電話帳を活用する。
オペレーターは詐欺の手口などを伝え、犯行グループが事前に資産状況を尋ねたり、保管場所を聞き出したりして強盗に押し入る「アポイント電話(アポ電)」があった場合は、その地域の金融機関やコンビニエンスストアにも電話して注意喚起する。そこで被害に遭っている可能性がある来店者への声掛けや、不審者を見つけた際の110番通報を呼びかける。特殊詐欺は、特定地域で同時多発する傾向が強いからだ。