「女性がたくさん入っている理事会は(会議に)時間がかかる」。2月3日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)によるJOC(日本オリンピック委員会)臨時評議員会での発言の余波は大きい。
スポーツ庁がまとめた「ガバナンスコード」に沿い、JOCが女性理事の割合を40%以上にしようとしていることに関連しての発言だ。イギリスでは「#Moriresign(『森は辞任しろ』)」とのハッシュタグが拡散し、フランスでは「高速道路を時速320キロのスピード違反で走り、速度取締機に引っかかった」とフリーペーパーが報じた。ただでさえ、新型コロナウイルスの流行が収まらない中での東京オリ・パラ開催に暗雲が立ち込める中、「性差別的」との批判もさることながら、世界中で「人として、どうなのか?」との声が挙がっている。
「多様性と調和」は東京オリ・パラの核となるビジョンの一つ。「ジェンダー(社会的意味合いから見た、男女の性区別)の平等」は基本的原則の一つ。公式ウェブサイトにも記されている。
兵庫県立大学非常勤講師として「キャリアデザイン」を通じ、女性の起業支援なども行っている芦屋市のNPO法人「さんぴぃす」理事長、河口紅(かわぐち・くれない)さんはこう見る。
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日本の男性は、この件に関してもっと怒るべきです。森会長の発言は、世界中から日本の男性は差別意識を持っていると思われてしまう危険性があります。私の経験上、女性だけのミーティングに時間がかかったことはありません。「女は話が長い」も失礼ですが「男性、女性、そして両性」と言った表現は許されるものではありません。この人(森会長)は基本的に人への思いやりや人に寄り添うという姿勢に欠けています。