「耳で聞く本」がもたらす視覚障がい者の社会参加 現状と課題は? “盲目の漫談家”濱田祐太郎と考える | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「耳で聞く本」がもたらす視覚障がい者の社会参加 現状と課題は? “盲目の漫談家”濱田祐太郎と考える

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 2018年『R-1ぐらんぷり』(現『R-1グランプリ』)王者で、「ひょうごユニバーサル大使」を務める“盲目の漫談家”濱田祐太郎さんが、「ユニバーサル社会」の重要性について発信しているラジオプログラム【濱田祐太郎のひょうごユニバーサル通信】。11回目の放送となった2月15日、テーマとなったのは「視覚障がい者の情報取得」。濱田さんの体験談を交えながら、点字図書館やオーディオブックなどの話を通じて、現状や今後の課題についてトークが進められた。

濱田祐太郎さん(右)とラジオ関西の林真一郎アナウンサー(左)
濱田祐太郎さん(右)とラジオ関西の林真一郎アナウンサー(左)

《※「ユニバーサル社会」とは、年齢・性別・障がいの有無や、言語・文化などの違いに関わりなく、すべての人が地域社会の一員として尊重される社会のこと》

 この日は、「兵庫県視覚障害者福祉協会」会長の大谷武さんが電話で出演。大谷会長は濱田さんが通っていた「兵庫県立視覚特別支援学校」の大先輩。そんな大谷さんのことを、濱田さんは『“モノ壊しの大谷”として有名だった』と、全く嘘のエピソードをいきなり披露してスタジオをざわつかせたが、大谷さんとの信頼関係があるからこそのユーモアから、明るい雰囲気で話が始まった。

 大谷さんが会長を務める「兵庫県視覚障害者福祉協会」は、県から「点字図書館」の管理運営を委託されている。この「点字図書館」はJR灘駅の近くにあり、「点字の本」や「デイジー図書」と呼ばれる視覚障がい者が聞く録音図書などの貸し出しを行っている。

 そして、今、兵庫県が力を入れているのが「専門書のオーディオブック化」。オーディオブックもデイジー図書と同じく「耳で聞く本」の一種で、パソコンやスマートフォンで聞くことができる。

 県が専門書のオーディオブック化に力を入れるきっかけとなったのは、アメリカ・ワシントン州副知事のサイラス・ハビブ氏。ハビブ氏が点字図書館を訪れたとき、知事との対談の中で、弁護士資格取得のためにオーディオブックが役に立ったと自身の経験を語った。それを聞いた知事が感銘を受け、県でも取り組みが強化されることになった。

 日本では、専門学校や大学に進学する視覚障がい者が増えているのに、専門書のオーディオブック化は進んでいないのが現状。県では関西学院大学や神戸大学とも連携を取りながら約2年間の試行錯誤を重ねて、文字データを読み込んで音声にする作業を、未校正であれば1週間程度で編集可能な状態まで進歩させている。今後は専門書のオーディオブック100冊の公開を目指し、国立国会図書館などとの連携も計画しているという。

 ちなみに、濱田さんはマッサージの勉強をしていたとき、CDではなくカセットテープで録音された資料を聞くも、淡々と読み上げる内容に途中で眠くなることも多く、睡魔と戦っていたとのこと。また、オーディオブックはAI音声で読み上げられるそうだが、濱田さんは「女子大生が読み上げてくれるオーディオブックだったら、全部覚えられそう」と、思わず個人的な願望を口にして、スタジオを沸かせた。

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※【濱田祐太郎のひょうごユニバーサル通信】次回は3月15日(月)『PUSH!』の中でオンエアされる。


『濱田祐太郎のひょうごユニバーサル通信』2021年2月15日放送回

 

 

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