緊急事態宣言の発令にともない、家で過ごす時間が増えた。それに伴い、営業時間の短縮や営業そのものの自粛などが続き、飲食店にとっては大きな痛手となることが懸念されている。そうしたなか、SNS(会員制交流サイト)上で全国のお店のレシピを公開しようという、新たな試みが始まっている。
発案したのは、神戸市内で「神戸カレー食堂 ラージクマール」を営む、片山絢一さん。「お店に行けない方々と、『お店に来て!』と言えないお店とをレシピでつなげたい」という思いを込め、フランス語で「円」という言葉を表す「Cercle」になぞらえ、Instagramのアカウント『セルクル』を立ち上げた。
「カレー屋を始める前の、サラリーマンだった時からカレーが大好きで、特にカレーを人に食べてもらうのが大好きだったんです。でも、今は外出自粛で、『お店に来て!』とは言えない状況。それなら、いっそレシピを公開するので家で作って食べて欲しい、と思ったんです。自分のカレーを食べてもらえないと生きていけない!そんな思いがありました」(片山さん)
片山さんは昨年4月の緊急事態宣言下で、料理レシピのコミュニティーウェブサイト「クックパッド」上に自店のカレーレシピを公開。それが好評だったため、自分の店舗だけでなく、同じような気持ちを抱く料理人たちを募ってSNS上でレシピを公開しようと思った。片山さんは、「おうち時間が増えて自炊する方が増えたと思うので、この機会にお店のレシピを再現してみてほしい。お店の宣伝にもなりますし、店側にとっても、他店のレシピを知ることで学びの機会になります。こうしてどちらにとっても有益な『円』が生まれると思います」と意義を強調する。
現在は10店舗以上がレシピを公開中。愛媛の「道後温泉 旅館うめ乃や」で名物の鯛めし、静岡を拠点に全国展開している「おやつの紀行」のプリンなど、全国各地の様々なレシピを見ることができる。各店舗の看板メニューのほか、お酒の作り方なども公開されており、今後の展開に期待がかかる。片山さんは、「今後は、全国のいろんなお店に参加してほしい」と呼びかけを続けていく考えだ。レシピを公開したい場合は、同アカウントから問い合わせる。
■「セルクル-レシピで繋がるおうちとお店-」
【Instagram】