東京から兵庫県豊岡市に演劇活動の拠点を移し、2021年春に開学する「兵庫県立芸術文化観光専門職大学」の学長に就任予定の劇作家・平田オリザさん。国内外の演劇界で活躍する平田さんのルーツを紹介する特別展「平田オリザと時代を駆け抜けた平田家の人々」が、3月15日まで、平田さんにゆかりのある赤穂市の市立美術工芸館・田淵記念館で開かれている。味呑英和学芸員によるリモート・ミュージアム・トークをお届けする。
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![平田オリザさん](https://jocr.jp/raditopi/wp-content/uploads/2021/03/oriza43-1024x769.jpg)
本展では、劇作家・演出家で、赤穂市政特別アドバイザーでもある平田オリザさんと、平田家ゆかりの人々の足跡をたどります。紹介するのは、平田さんの祖父・内蔵吉(くらきち)さん、大叔父・晋策(しんさく)さん、父・穂生(さきお)さん。それに内蔵吉さんと晋策さんの従兄弟の子である寛(ゆたか)さんら。いずれも文化・科学に多大な功績を残されました。
平田内蔵吉さんは、赤穂出身の医学者で、東洋医学の革命児と言われました。平田晋策さんは、内蔵吉さんの弟で、少年小説家・軍事評論家として一世を風靡したほか、赤穂線開通にも尽力されました。平田寛さんは、内蔵吉さん、晋策さんと幼い頃より親交があり、早稲田大学教授で、日本科学史学会の会長も務めました。
オリザさんの父、平田穂生さんは、内蔵吉さんの次男として京都に生まれました。シナリオライターとして活躍し、映画『時をかける少女』の挿入歌「愛のためいき」などの作詞家としても知られています。
平田オリザさんは、穂生さんの長男として東京で生まれました。劇団「青年団」を主宰し、劇作家・演出家として活躍されるとともに、各大学で教鞭を取って後進の指導に務められています。第39回岸田國士戯曲賞など数々の賞を受賞され、2021年春に開学する「兵庫県立芸術文化観光専門職大学」の学長として迎えられる予定です。現在、東京から居住を兵庫県豊岡市に移し、活躍されています。
平田家は、現在赤穂市内の観光名所にもなっている「息継ぎ井戸」の道を挟んだ西側にありました。平田家の西側には、四十七士の墓があり、永井家、森家歴代藩主の菩提寺でもあった花岳寺があります。オリザさんの曽祖父である寛治さんは、花岳寺信徒総代を務めていました。
![平田家位置 『赤穂の民俗 その7 (加里屋・上仮屋編)』より](https://jocr.jp/raditopi/wp-content/uploads/2021/03/-%E3%81%9D%E3%81%AE7-%E5%8A%A0%E9%87%8C%E5%B1%8B%E3%83%BB%E4%B8%8A%E4%BB%AE%E5%B1%8B%E7%B7%A8%E3%80%8F%E3%82%88%E3%82%8A-2-e1614928581637.jpg)
平田家は、江戸時代の赤穂藩の頃、龍野から赤穂に移住し、薬種商を営みました。藩に功労があったことから平田姓を授与されています。写真の看板は明治時代頃のもので、赤穂市立民俗資料館から借用しています。縦長の看板の一番下には寛治さんの名前が書かれています。