海の砂を下地に描く幻想的な世界観で人気の明石在住の画家・絵本作家たなかしんさんの作品展が、兵庫県明石市の文化博物館で開催されている。絵本の原画を中心に、未発表作品を含む約140点を展示。キャラクターをかたどったパネルと写真撮影できるなど、あらゆる世代が楽しめるよう工夫されている。
たなかさんは1979年大阪生まれで、明石市に住んで24年。画家、絵本作家としてのみならず、舞台美術、広告、服飾デザイン、キャラクター制作、講演やワークショップなど幅広く活動している。
作品の独特の風合いは、明石の海の砂が生む。砂を天日干しにして塩を抜き、作品の下に敷き詰めることで海と太陽の恵みなどが詰め込まれるという。人や動物を描く時は目力の強さを意識。「観る人の心に寄り添う作品にしたい」と考え、あえて表情を少なくしている。
2005年に絵本作家デビュー。以降「かみさまのいたずら」、「ねむねむごろん」、「うたえなくなったとりとうたをたべたねこ」など国内外で出版を重ね、心打つ優しさで幅広い世代の共感を得ている。
また2作目の長編作「一富士茄子牛焦げルギー」は、第53回日本児童文学者協会新人賞を獲得。リーディングアクト(朗読劇)として舞台化され、今年1月、生瀬勝久さん、沢口靖子さん、関西ジャニーズJr.の小柴陸さんが出演して上演された。