神戸市で2019年4月、対立する特定抗争指定暴力団・神戸山口組系組長を包丁で刺傷させたとして、殺人未遂・銃刀法違反の罪に問われた六代目山口組系組員2人の初公判が17日、神戸地裁で開かれた。
起訴された2人の組員のうち1人(58)は「殺意はなく、傷害事件にとどまる」と否認、もう1人(53)は「(共犯者とされる組員が)包丁を持っていたことも、(組長を)襲うことも知らなかった」と述べ、弁護人は無罪を主張した。
起訴状によると、組員らは2019年4月18日未明、神戸市中央区の商店街で、神戸山口組系組長(67)の背中や尻を後ろから包丁で刺し、約1か月の重傷を負わせたとされる。
一連の抗争事件の端緒。この年(2019年)11月に起きた神戸山口組直系組長射殺事件に至るまで、「2つの山口組」の報復とされる事件が4件相次いだ。また、特定抗争指定暴力団となる契機ともなった。
検察側は冒頭陳述で「2人は事件数日前から組長の動向を探り、犯行当日も組長が入った飲食店のそばで待ち伏せしていた」と述べ、計画性を指摘した。
一方、弁護側は「対立する組織だけに、組長に対しても浅からぬ因縁があり、痛い目に遭わせようと思っていた」と述べたが、殺害する気はなかったと主張、傷害罪にとどまるなどとした。
この事件の公判は、両組織の対立抗争状態が続いているため、裁判員裁判の対象から除外された。