兵庫・豊岡市の城崎国際アートセンター、館長と芸術監督に女性を登用「多様性の観点から」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

兵庫・豊岡市の城崎国際アートセンター、館長と芸術監督に女性を登用「多様性の観点から」

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 兵庫県豊岡市は22日、滞在型創作施設「城崎国際アートセンター」について、4月1日より、新たに女性の館長および芸術監督が就任することを発表した。館長に舞台芸術プロデューサーで介護福祉士の志賀玲子(しが・れいこ)さん、芸術監督に劇作家・演出家・小説家の市原佐都子(いちはら・さとこ)さんがそれぞれ就任する。

写真左から豊岡市の中貝宗治市長、これまで城崎国際アートセンターで芸術監督を務めた平田オリザさん、新館長の志賀玲子さん、新芸術監督の市原佐都子さん、これまで6年にわたって館長を務めた田口幹也さん(写真:ラジオ関西)
写真左から豊岡市の中貝宗治市長、これまで城崎国際アートセンターで芸術監督を務めた平田オリザさん、新館長の志賀玲子さん、新芸術監督の市原佐都子さん、これまで6年にわたって館長を務めた田口幹也さん(写真:ラジオ関西)

「深さをもった演劇のまちづくり」を進める豊岡市では、芸術活動を牽引する主要ポストが、市長などをはじめ、これまですべて男性で占められており、多様性の観点から課題を抱えていたという。

 また、この3月まで城崎国際アートセンター館長を務める田口幹也さんも、昨秋、「芸術活動に関する主要プレーヤーの多様性を確保し、豊岡における芸術活動がより多彩に展開されるよう、館長は女性から選ぶべきである」と、豊岡市の中貝宗治市長に提言。市の施策をジェンダー視点で見直す取り組みを進めている豊岡市も、この提言を受け入れた。

 さらに、劇作家・演出家の平田オリザさん(豊岡市在住)が、4月に開校する芸術文化観光専門職大学学長に就任する予定のため、3月末で同センターの芸術監督を退任することに。豊岡市は、同センターや演劇界、アートマネジメントに詳しい平田さんに推薦を依頼し、新たに館長、芸術監督を選任することになった。

 22日に行われた会見で、平田さんは二人の推薦理由について、「志賀さんには若手を育てることもお願いした。職員や周辺の方にもいい影響を与えるのではないか。市原さんについては、誰もが認める、いま最も注目されている劇作家、演出家。人的な関係において、いい作品を呼んでくる新しい国際的なネットワークを築いていただきたい」と明かした。

平田オリザさん(©igaki photo studio)
平田オリザさん(写真:igaki photo studio)

「すでに住民票は(豊岡市竹野に)移している」と述べた新館長の志賀さんは、「ここ数年間は、舞台芸術からは距離を置き、難病の友人をサポートしていたが、その期間に感じたのは、優れた芸術が持つ力は、生活においてとても大きいものであるということ。そういうものへの“アクセス”を作ることが必要」と就任の抱負をコメント。

志賀玲子さん(©igaki photo studio)
志賀玲子さん(写真:igaki photo studio)

 また、芸術監督を務める市原さんは、「(平田)オリザさんから引き継ぐことを光栄に思う。今後もアーティストにとっていい影響を与えていきたいし、自分自身もここで良い作品を作りたい」と意気込みを語った。

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