宝塚歌劇団宙組の男役として活躍し、昨年退団した星吹彩翔が、「劇団往来 第53回公演 ヴェニスの商人」で退団後初の主役を演じることとなった。
ラジオ番組『週明けクマチャンネル』(ラジオ関西)に、劇団往来の座長・要冷蔵とともに出演した星吹は、新しい挑戦に対し「世界が広がったというか、その世界(宝塚)しか知らなかったので、いろんなことが新鮮で楽しいです」と語った。
また、元宝塚ということで、「歌もダンスもできて当然」という周りの目にプレッシャーを感じたり、戸惑いもあるという。
「男性の方とお芝居をする経験がないのと、自分はずっと男役をやっていたので、気づいたら足を開いているし(笑)。男役が体に染みついちゃているので、『女性とは?』みたいなところから始めて、所作をどうしたらいいんだろうと、リハビリを一生懸命しています」(星吹)
主役を演じることとなったシェイクスピアの「ヴェニスの商人」については、「ちょうど、私は宙組で『Shakespeare 〜空に満つるは、尽きせぬ言の葉〜』という作品に出演させていただいたので、知識はあったんです」(星吹)という。これには、座長の要も「すごく心強いです」と目を細めた。
今回、演出を担当するのは、シェイクスピアを語らせたら右に出る者はいないといわれる神澤和明。座長の要は、シェイクスピア作品を演じるうえでの難しさをこう述べる。
「シェイクスピアのセリフは、詩みたいにきれいに流れていく。特に英語だとすごくきれいらしいんですが、それが日本語に代わってもリズムよくしゃべられるかというのが、一つの課題。そのリズムに乗れないとカクカクカク……となってしまうんです。リズムに乗りながら気持ちを前に出していくのが難しいんですね」(要)
最後に星吹は「ひとりの女の子が結婚をして、ひとりの女性として成長していく過程というものが描かれている作品を、丁寧に演じて、それがお客様に伝わるようにきちんと作り上げていきたい。稽古を重ね、皆さまとの化学反応を楽しみながら、一緒に作り上げていけたらいいなと思います」と抱負を語った。
「劇団往来第53回公演 ヴェニスの商人」は、大阪・天王寺の近鉄アート館で、4月1日(木)から4日(日)まで、全6公演が予定されている。