顔をかざして支払い完了 グローリーが近畿大で顔認証決済サービスの実証実験開始

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 貨幣処理事業で培った紙幣認識技術を応用し、ヒトの顔を正確に見分ける生体認証技術に進化させている貨幣処理機大手のグローリー(本社:兵庫県姫路市)は、新学期の始まった近畿大学の東大阪キャンパス(東大阪市)で顔認証決済サービスの実証実験を7日から開始した。

 この決済サービス「BioPay(バイオペイ)」(商標登録)は、グローリー独自の顔認証プラットフォーム上に登録した本人の顔画像とクレジットカード情報をリンクさせたもの。利用者はスマートフォンから専用サイトにアクセスして必要情報をあらかじめ登録、あとは支払い時に店頭の専用タブレット端末に自分の顔をかざすだけで、現金やクレジットカードを受け渡しすることなく非接触で決済を完了できる。

 すでに同社はマスクを外さなくても高精度に本人認証する技術を確立しているが、バイオペイは決済目的であることを考慮し、万が一の誤認がないようにマスクを外した状態で利用することに。また、双子などよく似た顔の人が登録されている場合は、コンピューターが自動で判断して事前登録した暗証番号の入力を求めることで誤認を防ぐ。

顔認証決済の様子
顔認証決済の様子
数秒で支払いが完了し、端末に通知が表示される
数秒で支払いが完了し、端末に通知が表示される

 グローリーは2019年から社内コンビニで社員を対象に実証実験を続けているが、範囲を社外に拡大することで、さらなる課題の洗い出しや一般消費者のニーズを探る。顔認証決済の実証実験は公共交通機関の利用場面で行われているケースがあるが、大学構内で展開されるのは国内で初。

 また、近大側は「学生が最新テクノロジーに触れる機会を提供する」との方針に基づき、これまで電動キックボードのシェアリングサービスを導入したり、NTTの5G基地局を設置している。今回の実証実験も「次世代技術の社会実装に貢献したい」として受け入れた。同大がグローリー製の各種証明書発行機を導入していることも縁となった。

 学生や教職員約2万6千人が行き交うキャンパス内のカフェや食堂、売店の計4店舗に専用タブレット端末を設置し、9月末までの期間中に1千人以上の参加を目指す。利用者からはアンケートを通じて意見をもらう。

「BioPay」実証実験の告知看板
「BioPay」実証実験の告知看板

 実験初日の7日に早速利用した学生は「コロナ禍で現金の受け渡しが気になっていたので良い考えだと思う。利用客と店の双方にメリットがある」「思ったより早く決済完了して、びっくりした。ポイント還元があればうれしい」といった感想を述べていた。

 同社は10月以降、フィールドを近大キャンパス周辺の商店街に拡大することや、ほかの大学・企業などでの実証実験も検討中。学生らの意見を踏まえ、今年度内に実用化を目指すという。(播磨時報社)

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