お天気キャスターとして活躍する気象予報士・防災士の正木明さんは、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組で、「手つかずの自然に入るときは、生半可な気持ちで入らないで」と警鐘を鳴らした。
この冬は例年になく降雪が多かったが、一方で、日中は暖かい日も散見され、日ごとの寒暖差も大きく、雪崩が起きやすい気象条件に。2月末には北海道の山林にあるバックカントリーと呼ばれるスキー場のコース外でスノーボードをしていた女性が、雪崩に巻き込まれて死亡するという痛ましいニュースもあった。バックカントリーというのは自然のままの場所で、スノーボード、スキーを楽しむというエリアのこと。
雪崩被害のニュースを受けて、番組ではスノーボードの第一人者であり、スキーヤー・スノーボーダーで構成された環境保護団体「POW JAPAN」(一般社団法人Protect Our Winters Japan)代表理事の小松吾郎さんにも、注意点について話を聞いている。
「バックカントリーを楽しむとき、スキーヤー、スノーボーダーたちは雪に関する知識を備えています。ただ、雪の状態をしっかりと把握するのは、自然相手なので、なかなか難しい」(小松さん)
具体的な話として、正木さんは、小松さんへの取材をもとに、次のように番組で説明した。
「例えば一時的にドカ雪が降った、その数日後にまた降り始めたとする。そうすると、前に降ったドカ雪と新たに降った雪、この層の境目ができる。質が違うものなので、その境目というのは非常に滑りやすくて雪崩が起きやすい。いわゆる古い雪の上に新しい雪が降って、その新しい雪だけがさらーっと流れてしまうのを、『表層雪崩』という。あと、雪が降り積もった場所が日陰か日なたかなどでも、雪質は大きな違いが出てくる。これらを覚えておかなければいけない」(正木さん)
では、新雪が楽しめるものの、管理されていないバックカントリーのような場所で、楽しく安全に滑ろうと思ったら、どんなことをするべきなのか。小松さんは次のように述べたという。
「滑り始める前に、そこの雪に触れてみて、雪質をちゃんと把握すること。そして、手で雪をさっと切るように雪の層を確かめること。何度かやってみると、どこかできれいな境目ができるところがある。ここを弱層というが、弱層が認めれたられた場合は、かなりケアしながら滑り始めるか、または滑るのをやめようと判断するかという選択肢になる」
「上級者は広いところではなくて森の中を滑る。森の中というのは木があるので雪崩が起きにくい。そういう意味があって、腕に自信のある方は森の中を選ぶという選択肢もある」(以上、小松さん)
小松さんからは、「これから山に入る人たちへ」として番組を通じてメッセージも寄せた。
※ラジオ関西『正木明の地球にいいこと』2021年3月15日放送回より
◆『正木明の地球にいいこと』ホームページ