兵庫県神戸市垂水区、山陽電車「霞ヶ丘」駅や「山陽垂水」駅、JR神戸線「垂水」駅から少し歩くと、住宅街に突如姿を現すのが、「五色塚古墳」だ。全長約194メートル・高さ約19メートルと巨大で、4世紀後半に築かれた兵庫県下最大の前方後円墳は、パワースポットとしても知られ、全国から多くの歴史ファンが訪れている。そんな五色塚古墳が国史跡指定100年を迎えたのを記念して、企画展が開催されている。
兵庫県は全国で最も多くの古墳が確認されている県だ。その中でも最大規模の五色塚古墳は、千壺古墳とも呼ばれる。
五色塚古墳に関する最初の記事は、日本書紀に見られる。この記事には「仲哀天皇の偽の墓で、葺石は淡路島から運んできた」と書かれているが、丁寧な造りや、人が葬られる石室の石材の出土など、考古学的には古墳時代の墓であることは間違いないようだ。その後、江戸時代には様々な絵や文章の記録が残されている。1921(大正10)年3月3日、西側にある直径70メートルの小壺古墳とともに、国史跡に指定された。
古墳の周囲には深い濠(周濠)と浅い溝(周溝)を2重にめぐらせ、3段に盛り上げられた後円部の高さは18.8メートルに達する。斜面には総量およそ223万個の葺石が敷き詰められ、平坦面には、推定2200本の円筒埴輪が立て並べられている。
埴輪というと人の形をしたものを想像するが、基本的な埴輪の形は円筒埴輪で、人の形のものは、もう少し後に造られたものになる。古墳の周りに並べられている理由は、邪悪なものを寄せ付けないという意味があり、弥生時代に備えられていた器台(きだい)と呼ばれる壺を置く台が形を変えたものと考えられている。
1965(昭和40)年から1975(昭和50)年には、およそ10年の歳月をかけて、埋葬施設以外の発掘調査と、復元整備が行われた。発掘調査で出土した鰭付円筒埴輪などの一部は、2012(平成24)年に国重要文化財に指定され、第一級の考古資料として評価されている。
◆五色塚古墳管理事務所
神戸市垂水区五色山4丁目
電話 078-707-3131
【神戸市埋蔵文化財センターHP】
【神戸市埋蔵文化財センター春季企画展・史跡指定100年記念 『国史跡・五色塚古墳のあゆみ』の開催 (神戸市 HPより)】
【『サンデー神戸』番組HP】