兵庫県と神戸市は20日、県内でこれまでに新型コロナウイルスに感染した患者3人から、インド型変異ウイルスなどの特徴である「L452R変異株」が確認されたと発表した。うち、県が発表した2人はゲノム解析の結果、県内で初めて「インド型変異ウイルス」への感染が確認された。神戸市が発表した1人は市健康科学研究所でゲノム解析をしたものの、ウイルスの量が少なく、インド型変異ウイルスとまでは確定できなかったという。
L452R変異による変異株はインド型とカリフォルニア型があるが、神戸市が発表した20代の男性は4月26日にインドから来日。空港の検疫での検査では陰性だったが、2週間の隔離(外出自粛期間)が終わった後にPCR検査を受けたところ、「L452R変異株」に感染していることが分かった。濃厚接触者はおらず、無症状だという。
また、県が発表した2人は5月上旬にインド型が流行している国から帰国。空港検疫のPCR検査で陰性だったが、2週間の隔離期間中に再検査して陽性が判明した。その後、医療機関に入院、既に退院しているという。県は濃厚接触者について「不特定多数との接触はない」としており、居住地域や年代、性別などについては、「個人の特定の恐れがある」として非公表としている。
インド型変異ウイルスは2020年10月にインドで初めて検出され、国立感染症研究所は「懸念される変異ウイルス」に分類している。神戸市によると、「インド型は感染力が高く、ワクチンと抗体医薬の効果を弱める可能性があるとされているが、重症化への影響は不明」という。そして「変異ウイルスであっても、個人の基本的な感染予防策は、従来のものと同様だ」としており、改めて感染への対策を取るよう呼び掛けている。