「時間が作った景色」ペルシャ絨毯はなぜ美しいのか、専門店に聞く | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「時間が作った景色」ペルシャ絨毯はなぜ美しいのか、専門店に聞く

LINEで送る

この記事の写真を見る(5枚)

 神戸に全国から人がやってくる絨毯(じゅうたん)店がある。その店主は売れるものには興味がなく、自分の好きな時代の選りすぐりの逸品だけを販売しているという。そんな絨毯の世界について教えていただこうと、ペルシャ絨毯を扱う「ラグ&カーペット ティーズ」(神戸・六甲アイランド)のオーナー、玉木康雄さんに話を聞いた。

写真提供:ラグ&カーペット ティーズ

「そもそもペルシャ絨毯というのはイランで作られた手織りの絨毯全般のことをいいます。日本でペルシャ絨毯というとシルクでできた繊細なものというイメージだと思いますが、実際はウールのものがほとんど。赤い色のものが多いですが、イランは砂漠地域なのでそこで暮らす人たちが生命力あふれる赤を好んでいるのではないでしょうか」(玉木さん)

 ペルシャ絨毯は一品一品が手作りで製作されていてとにかく時間がかかる。たとえば1メートル×1.5メートルで細密なものの場合、糸を150万回結んでいるのでおよそ300日かけて作られているというほどだ。

写真提供:ラグ&カーペット ティーズ

 そして「ラグ&カーペット ティーズ」には、最近製作されたようなペルシャ絨毯はほぼ置いておらず、1979年のイラン革命以前に製作されたものを中心に取り揃えている。イラン最後の王朝が栄えていた時代でペルシャ絨毯や建築などペルシャの文化にすごく力を入れていたため染色が美しく、細やかでぜいたくな良いものが多い。時間が経っていることで色も落ち着いてきており、まるで“時間が作った景色”とも言えるような、時間を通して完成した色が魅力的なのだそう。

写真提供:ラグ&カーペット ティーズ

 ペルシャ絨毯に携わって33年が経つという玉木さん。「もともとは百貨店で働いていたので様々な物を販売していました。独立を考えたときに宝石や時計の貴金属や高級バッグ、毛皮などは競合相手が多そうだったんです。何かないかと考えたときに、一般的にわかりにくいとされているものをわかるようになれば強いのではと思い、『わからないけど興味深い』ペルシャ絨毯を選びました。33年が経ちましたが、まだまだ奥は深いですね」

 他では手に入らない絨毯も多く取り揃えているため、お客さんは全国各地から訪れる。

「今のようにインターネットが普及する前は、目当ての商品を簡単に見つけられる環境ではありませんでした。ヨーロッパに旅行したときにバルーチ族という遊牧民の絨毯を見て気に入ったという方がおりまして、日本に帰ってからこの素敵な絨毯を買おうと考えて帰国したそうなんです。ただ、あちこち探して回ったがどこにも置いていない。なんとかうちにたどり着いてバルーチ族の絨毯を見つけたときには、うれしさのあまり店内でボロボロっと涙を流して泣き崩れました。そんな方が3人ほどいらっしゃいました」


【ラグ&カーペット ティーズ HP】

LINEで送る

関連記事