兵庫県姫路市にある姫路獨協大学がユニークな授業を展開している。
2016年度からスタートしたものだが、開講するにあたって、姫路市と獨協学園の公私協力方式で設立されたメリットを活用。地元経済団体「姫路経営者協会」(経協)と包括連携協定を交わしたうえで、地元企業の協力を得ながらプログラムを練り込んでいる。
授業は人間社会学群の学生が対象の「社会人基礎力演習」。「QC(Quality Control=品質管理)」や「カイゼン(改善)」という企業でよく行われる活動をベースに、学生がチームを組んで〈問題発見〉〈現状把握〉〈要因分析〉〈対策の検討と実施〉〈効果確認〉〈後戻りを防ぐ標準化〉といった一連の手順を踏みながら、実践的に問題解決に当たるという点が最大の特徴だ。1年目は講義中心、2年目は学内に範囲を絞って課題解決に取り組み、3年目はいよいよ地元企業と一緒になって新製品の企画や実際の社会課題の解決に当たるため、キャンパスからも踏み出していく。
これまでに、学内では食堂・売店のメニュー改定やサービス改善、図書館の返却ボックス新設、学外では市内酒造メーカーの新製品販売促進などに取り組み、話題を呼んだ。
同演習の目的は、昨今の若者に不足していると指摘される主体性や粘り強さ、コミュニケーション力を学生時代に身に付けてもらうこと。さらにチームで取り組むことで、指示待ち人間ではなく積極的に動く人間を育てるという狙いもある。
指導者には大学教員以外に、実際に企業で人材育成・社員教育を担当する専門家を招いており、このことが学生にとっては大きな刺激にもなっている様子。同演習の構想段階から参加している元姫路経協専務理事の村瀬利浩同大客員教授は「履修した学生はお世辞抜きに成長が見られ、毎年、経協や姫路市が主催する研究発表会で成果報告する姿は実に堂々として周囲に感銘を与えている。指導する側としてもやりがいを感じている」と目を細める。
同大学は開学の経緯より「地域に開かれた大学」を標榜しており、まさに産学連携で社会に必要な人材育成をしていると言えそうだ。(播磨時報社)