尼崎市発注の水道工事をめぐる贈収賄事件で、収賄容疑で逮捕された市水道建設課の技術職員の男(26)が、贈賄容疑で逮捕された尼崎市内の建設業者社長の男(51)と経理・契約担当の女(46)から現金50万円と海外ブランドの腕時計2個(計12万5000円相当)を受け取っていたことが新たにわかった。
兵庫県警は2日、3人を贈収賄容疑でそれぞれ再逮捕した。捜査関係者によると、建設業者社長は「(市発注の)工事現場で知り合った」と供述。現場で顔を合わせるうちに、遅くとも2020年2月ごろから複数回、飲食接待することもあったという。職員の男は庁舎内のパソコンの共有フォルダから、自身が担当する工事以外の入札情報も閲覧し、業者側に漏らしたとみられる。
■飲食接待、北新地で現金50万円手渡し 財布も腕時計も「ペア」、男の妻にも贈る?
社長側から男に入札情報を漏らすよう持ち掛けたとみられる。再逮捕容疑は2020年9月18日、社長側が別の水道建設課発注工事の入札に関して、設計金額を漏らすなどの便宜を計ってもらう見返りに、大阪・北新地の飲食店で現金50万円とイタリアのブランド「I.T.A(アイティーエー)」の腕時計2個を男に贈った疑い。いずれも容疑を認めているという。捜査関係者によると、腕時計2個(ペア)は、男と妻にも贈ったとみられるという。
■職員の男に金品で恩を売り…しだいに業者側に取り込まれたか
尼崎市によると、2020年度にこの建設業者が受注(落札)したのは、5月の逮捕容疑となった応急給水栓工事以外に、男が所属する水道建設課が発注した工事の下請け5件。神戸地検は2日、別の水道工事(応急給水栓設置)をめぐり設計金額を教えた謝礼で高級ブランド「ルイ・ヴィトン」の財布2個(計26万4000円相当)を授受したとして、男をより刑罰の重い加重収賄罪で、社長と経理担当の女を贈賄罪で(いずれも官製談合防止法違反罪・入札妨害罪と合わせて)起訴した。