神戸市は4日、国内で初めて確認され、ワクチンの効力を弱める可能性がある新たな変異ウイルス「E484Q」が加わった「アルファ株(イギリス株)」に、神戸市内でさらに4人が感染したと発表した。この変異株については、同市が1日、国内1例目となる50代の男性の感染を発表したばかり。
「E484Qを持つアルファ株」は、アルファ株(イギリスで初めて確認された変異ウイルス)の特徴である「N501Y変異」に加え、「E484Q変異」を持つ。神戸市によると、感染力は従来株の1.32倍、重症化リスクは1.4倍高く、ワクチンの効力を弱める可能性があるという。
今回確認された4人は、いずれも海外への渡航歴はなく、1例目の男性との接触もなく軽症。すでに回復しているという。うち40代の男女と20代の男性の3人は同居する家族だった。
神戸市は1例目の男性について、渡航歴がないことから「男性の体内で(アルファ株の)変異が起きた可能性がある」とみていたが、感染者が5人に増えたことを踏まえ、「疫学調査で把握されていない感染者を介して感染が広がっている可能性が高い。神戸市内に限らず、国内のどこか(市中)に感染源が1つ以上ある可能性がある」と改めた。
神戸市健康科学研究所では、変異ウイルスをより詳しく調べる「ゲノム解析」を独自で実施する体制を全国に先駆けて構築した。2021年4月~6月までの2か月間、ゲノム解析の件数は約2,200件で、全国の自治体でトップクラスの数字だという。神戸市の場合、4月以降に見つかったのはこのうち5件と少なく、感染の広がりは限定的だとしている。
神戸市の担当者は「全国で検査が進めば、他の自治体で『実は(新たな変異ウイルス)に感染していた』という例も出てくる可能性はある」と述べた。