さらに、注ぎ方も大切だという。
「少量ずつ、色が重なっているのを確認しながら入れていき、最後の一滴まで出し切ってください。紅茶の世界でも『ゴールデンドロップ』という言葉がありますが、最後の一滴に旨みが詰まっていると言われています。さらに、余分な水分がない方が二煎目、三煎目がおいしくなる。つまり、おかわりが美味しくなります」
実は、植木さんは30歳になるまで日本茶に全く興味がなかったそう。「以前はメーカーで営業の仕事をしていました。そこを辞めてから、縁があったので日本で最初の喫茶店とも言われる放香堂(神戸市)で働くようになり、日本茶に目覚めました。日本茶の幅の広さを知ってもらいたいと思い、気づいたらおよそ100種類の日本茶を扱っていましたね。農家さんに会いに行って納得したものだけを置いているので、その茶葉の特徴や、農家さんがどんな思いで作っているのかなどすべて言えますよ」
100種類以上の中から、特にオススメしているのが島根県の出雲茶(品種:さえみどり)。市場にはなかなか流通しないもので、うま味成分がすごく、まるでお出汁を飲んでいるような印象だという。そして、お店ではお茶だけではなく食事も提供している。ご飯はほうじ茶で炊きあげた茶飯(ちゃめし)を提供していて、独特の香りともちっとした食感が特徴。お茶の佃煮もあるが、これは特にお年寄りに好評。
植木さんの今後の目標は、「スタバ(スターバックス)に行くような感覚」で日本茶を飲むような世の中にしていきたいという。また、結婚式の披露宴などで行われる最初の乾杯を日本茶でするようになってほしい、という夢も語ってくれた。植木さんの飽くなき挑戦はこれからも続く。
【神戸チャイハーネ】
「日本茶復権」を掲げる店主が全国の茶農家さんを訪ね、直接買い付けたお茶がおよそ100種類揃う日本茶専門カフェ。おいしい日本茶に合うランチやスイーツも提供。六甲ライナー・「アイランドセンター前」駅直通。営業時間は午前11時~午後7時。水曜定休