―――なるほど、確かにそうかもしれません。ちなみに松竹に入るきっかけが、大学2年のときに学祭で披露した「ひとりコント」だそうですね。それを見た事務所の方からスカウトされたとか。
【ヒコロヒー】そのひとりコントも、超適当ですよ。喋って、その中にちょっとモノマネみたいなの入れて。とにかく「出りゃいい」というだけだったから。花の女子大生ですから、「お笑い芸人になりませんか?」ってスカウトされても「ふぅ~ん」って感じですよ(笑)。モデルさんとかアイドルさんのスカウトだったら、当時ハタチくらいの私も「おっ!」と色めき立ったかもしれないですけど(笑)。でもちょうど就活が始まるタイミングだったので、就職にも繋がるかな、と思って松竹に連絡しました。映画の配給やラジオ制作の仕事がしたくて、松竹ではそういう分野の仕事もあったので役に立つかな、と。本当になにがきっかけになるか分からないですよね。
◆おいでやす小田らとの共演で、ピン芸人の魅力を知った
―――そこから養成所に通って、レッスンを受けるようになったんですね。
【ヒコロヒー】そんなに「お笑いを教えてもらう」って感じでもなかったです。当時きつねさんとかAマッソが養成所にいて仲良かったんで、「学生が習い事で友だちができたから、そいつらに会いたくて行く」みたいな感じで。大学も行ってたし、就活もしてたんで。作家にも嫌われてましたし(笑)。
―――大学は卒業せず、中退されたそうですね。ここが芸人を目指すターニングポイントになったんでしょうか?
【ヒコロヒー】大学は、そもそも辞めたかったんですよ(笑)。単位も取れないし、ずっと「辞めたい辞めたい」と思ってて。だから、ちょうど良い免罪符というか……若者が「夢が見つかったんで学校辞めたいです」とか言ったら、大人たちはけっこうグッと来るんですよね。それを前面に押し出して、「お笑いで頑張りたい」を理由に大学を辞めた感じでした。
―――では、大学を辞めた時点で「お笑いの道に進む」と決意していたわけではないんですね。
【ヒコロヒー】そうですね、辞めたタイミングではそうじゃなかったです。フリーターになろうと思ってました。