「お店の開店のときに店頭に飾られている祝花、あれは持って帰っていいのでしょうか」、ラジオ関西にこのような質問が寄せられた。
早速、生花を取り扱う専門店にたずねてみたが、「地域によるので、一概に言えない」とのこと。聞くところによると、愛知県の一部地域では、持ち帰る慣習が根強いらしい。そこで、愛知県豊橋市にある「フラワーハウスたなべ」の田邊健介さんに詳しく聞いた。
「豊橋市周辺では基本的には持ち帰ってOKとされています。お花をそのまま置いていてもじきに枯れてしまうので、それだったらお客さんに渡そうとなって、そのうちにお客さんが持ち帰るようになったというようなことを聞いたことがあります。スタンド花を設置している作業中に『持っていっていい?』と聞かれることもあり、さすがに開店時間までは待ってほしいですが……」(田邊さん)
豊橋市周辺以外の一部地域でもこうした慣習はあるようだが、やはり知らない人も多いという。「全国展開しているお店が開店したときなど、この辺りの地域以外の人がお店をオープンされたときに花が持っていかれるのを見ると、すごく驚かれますね。あとは、『この辺では開店祝いの花が持っていかれると聞いたのですが、どうすればいいですか』と相談される方もいます。店側が持ち帰ってほしくないという意向であれば、花屋の方で『〇月〇日の〇時まではお花を抜かないでください』と注意書きを貼るようにしています」。
ここでズバリ、「開店祝いの花を持ち帰ってもいいのか」という質問を田邊さんにぶつけてみた。「やはりお店の方次第ですので、直接確認するのが一番ですね。枯れてしまうと花が散ってゴミになるので持ち帰ってもらった方が助かるという人もいますので。あと、OKだった場合でも通りすがりに抜いて立ち去るだけではなく、せめて店内を確認してみるとか、さらにはその店を利用した上でお花を持ち帰るようにしてもらえば、お店の方も喜んでくれていいと思います」。
ちなみに、家で飾る用に花を販売する際には長く楽しんでもらえるように、これからが見ごろのものが選ばれるが、開店祝いの花は今まさに花が全開というものが選ばれる。今のような時期にはひまわりなどが多く、年間を通してはバラやユリなどが選ばれることが多いという。持ち帰られる花は、やはり高価なもの(胡蝶蘭など)から抜かれていくそうだ。
豊橋市などのように開店祝いの花を抜く風習のある東海地方であれば、声をかけずに抜いても大丈夫のようだが、そうした場合でも開店時間前に抜くのはマナー違反で嫌がられる上に、怒られるようなこともあるかもしれないのでやめたほうが良さそうだ。また、こうした風習があるかどうかわからなかったり、迷うようであれば、まず店内を覗いてから店主やスタッフに確認すると適切だと思われる。
(取材・文=バンク北川)