兵庫県明石市・JR朝霧駅歩道橋で2001年、花火大会の見物客が転倒し11人が亡くなった事故から21日で20年を迎える。事故の状況や教訓を伝えるパネル展が「あかし市民図書館(明石駅南・パピオスあかし4階)」で開かれている。21日まで。
明石市は事故発生日を「市民安全の日」とし、歩道橋事故と、同年12月に起きた大蔵海岸・砂浜陥没事故を教訓に安全について考えてもらおうと、2013年からパネル展を実施している。32枚のパネルでは事故当時に歩道橋周辺で人が密集している写真の他、再発防止のための安全対策や市の取り組みなどを展示。
■鳴りやまぬ救急車のサイレンの音、忘れられない
パネル展に訪れた市内在住の50代の女性は「あの日、夫と娘2人(当時4歳・8歳)とともに花火大会に行っていました。鳴りやまない救急車のサイレンの音が、今でも耳から離れません。幼稚園に通っていた4歳の娘がすでに社会人に。月日が経つのは早いです。警備のあり方や安全への意識を高める、大きな出来事だったと思います。ただ、その後、明石で花火大会がないのは本当に寂しいです。しかし遺族の方々の心情を察すると、再開は難しいのかも知れません」と話した。
■語り継ぐべきは”安全・安心の意識”
事故で当時2歳の次男・智仁ちゃんを亡くした遺族会会長、下村誠治さん(62・神戸市垂水区)は「事故の風化そのものは仕方がないかも知れない。しかし安全安心の意識を風化させてはいけない」と誓った。さらに静岡県熱海市で起きた土石流災害に触れ「強制的に避難できるようなシステムをつくっていかないといけない」と安全への思いを話した。下村さんは21日、事故を知らない世代とされる明石市の若手職員へ向け、講師として事故現場の大蔵海岸で安全への思いを語る。