1974年と並ぶ最多5人の争いとなった兵庫県知事選挙は18日、投開票された。開票が終わったのは18日深夜で、元・大阪府財政課長の斎藤元彦氏(43)が混戦を制し当選を決めた。20年ぶりに県のトップが交代し、4代にわたり続いてきた「知事から副知事への禅譲」の系譜は途絶えた。県政史上初の保守分裂選挙となり、斎藤氏には自民党と日本維新の会が推薦を出す「相乗り」の構図となったが、県民が5期20年続いた県政の「継承」よりも「刷新」を選んだことを反映した結果となった。投票率は、2017年の前回を上回る41.1%だった。
1日の告示以降、長年続いた井戸県政への評価や、新型コロナウイルス対策、人口減少・流出への対応などを主な争点とし、各候補者が論戦を繰り広げてきた。当選確実の知らせを受けた斎藤氏は18日午後8時すぎ、選挙事務所(神戸市中央区)での挨拶で、「1年前にこういったことになるとは全く思っていなかった。県民の皆さんの支援の輪が一歩ずつ広がっていくということを感じた17日間だった」と選挙戦を振り返り、喜びをかみしめた。その後、斎藤氏はラジオ関西の取材に応じ、「初めての選挙だったので手探りだったが、県民の皆さんにできるだけ多くお会いすることを大事にしてきた。これまでの20年の井戸県政、もっと言うと、50年以上の副知事からの禅譲型の県政ではなく、『新しい兵庫を作っていく』ということを理解してもらえたと思う」などと述べた。
一方、落選の報を受けた前・兵庫県副知事の金沢和夫氏(65)は、「これまで熱い支援をいただいた皆様の期待に応えられず本当に申し訳なく思う。限られた時間の中で支援の広がりを達成できなかった私のパワー不足を心から反省している。県民の一人として、新しい知事と一緒になって、兵庫県をこれまで以上にしっかりと支えて発展させていかなければならない。その責任を果たしたい」と声を震わせた。金沢氏を事実上支援してきた井戸敏三知事(75)は、「副知事だからではなく、県のことを一番理解している適任だと思って精一杯応援をしてきただけに、ただ残念だ」と唇を噛んだ。