当時「100年に1度」ともいわれた大雨だったが、もともと水害が多い地域だったため、都賀川は雨水を海に流す排水溝として活用され、のちに水に親しむ親水公園として整備された歴史がある。こうしたことから都賀川は地元で「雨が降ると急に増水する川」として知られる。兵庫県は都賀川の事故後、大雨洪水注意報・警報が発令さると点灯する回転灯を設けるなどした。
■この日は「安全に向けて気持ちをリセット」能勢文夫さん
大阪府吹田市の建設会社経営、能勢文夫さんも追悼の集いに訪れた。能勢さんは当時、都賀川の河口から約1.5キロ地点の山手幹線に架かる「新都賀川橋」の耐震補強工事中だった。突然の雨で撤収作業を始め、最後に残った能勢さんの眼前に上流から濁流が迫った。「このままでは死んでしまう。もうダメだ」。とっさに橋脚にしがみつき約30分後、レスキュー隊に救出された。
能勢さんは毎年都賀川へ訪れる。「この夏も、水害のニュースを聞くたびに悲しい思いをします。最近では熱海の土石流。油断禁物。絶対的な安全はないんだということを肝に銘じてほしいです。そして天候やその土地の状態、事前に調べておくことが必要な時代なんです。そのためにも、毎年7月28日は、気持ちをリセットして、改めて安全について考える日にしています。ここに来ると、あの悪夢を思い出すと同時に、気が引き締まります」と話した。