兵庫陶芸美術館で8月28日まで特別展「受贈記念 赤木清士コレクション 古伊万里に魅せられて―江戸から明治へ―」が開かれている。同館の学芸員・村上ふみさんによるリモート・ミュージアム・トークを3回にわたって紹介する。第3回のテーマは「意匠としての動物」。
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兵庫陶芸美術館では、2021年8月28日(日)まで、特別展「受贈記念 赤木清士コレクション 古伊万里に魅せられて―江戸から明治へ―」を開催しています。本展覧会では、神戸の収集家・赤木清士氏(1937-2019)が収集した、江戸後期から明治期に有田で作られた作品を中心とする陶磁器コレクションを通して、その魅力を紹介しています。
今回紹介するのは、動物を描いたうつわです。
古伊万里には、味わい深く愛嬌のある動物たちがたびたび登場します。
雨の中に現れた、躍動感のある虎。肩が隆々とした勇ましい虎。虎の表現ひとつをとっても様々です。中央に7羽の雀、口縁部は竹と笹が描かれた大皿。雀にしては少し首が長いようにも感じられますが、竹と雀はよく描かれる組み合わせ。このことから、鳥は雀と推測できます。続いては、アクロバティックな兎。後方に描かれた兎の体勢は、なかなかに難解です。
現在のように実物の写真や映像がすぐに入手できない時代。実際に見たことのないものを、絵手本だけを参考にしながら描いたものも少なくないのではないでしょうか。(兵庫陶芸美術館学芸員・村上ふみ)