今年の広島原爆の日より、日本で原爆が開発されていた事実を描く日米合作映画が公開されています。『映画 太陽の子』が8月6日(金)、全国ロードショー。
葛藤・恋愛・反発・日常……この作品は日本で行われていた原爆開発の過程を通じて、若い男女3人の青春を描いています。
1944年、夏。「この研究が成功すれば、戦争は終わる」──京都帝国大学物理学研究室で教授の指導のもと、こう信じて実験に没頭するのは若き科学者・石村修ら学生たち。海軍から依頼された原子核爆弾の開発を急いでいます。これはアインシュタインの理論を具現化することなのですが、一方で世界を滅ぼしかねない研究です。
太平洋戦争が最終局面を迎え、家を失った幼なじみの朝倉世津が、修と母親が住む家で一緒に暮らすことになります。修は秘かに世津に思いを寄せています。
ある日、陸軍に所属して戦地にいた修の弟・裕之が突然、帰宅します。部隊が配置換えになって、この機会に肺を治すようにと軍医から休暇を与えられました。久しぶりの再会を喜ぶ3人。裕之もまた、世津に恋心を抱いています。戦地の出来事を一切話さず、明るく振る舞っています。
3人は思い出の海に出かけますが、帰りのバスがエンストし、野宿することに。ここで修と世津は、裕之が負った深い心の傷を感じます。深夜に修が目を覚ますと、弟・裕之の姿が見えません。世津と一緒に捜しまわると、海岸にたたずむ裕之が荒い波の中へと入っていくのが見えます。
裕之は心の声を振り絞ります。
「怖いよ。でも俺だけが死なんわけにいかん」