昨年10月、新型コロナウイルス感染症のため81歳で他界した世界的デザイナー、髙田賢三さんの特別展「“夢”髙田賢三展」が姫路市文化コンベンションセンター「アクリエひめじ」(兵庫県姫路市神屋町)で開催されている。人々を魅了した髙田さんの功績をしのび、連日大勢の市民やファンが詰めかけている。
髙田さんは姫路市出身。高校卒業後、東京文化服装学院などを経て1965年に渡仏。パリで自身のブランド「KENZO」を設立した。当時主流だったオートクチュール(高級注文服)ではなくプレタポルテ(既製服)に力を入れ、今では当たり前となった音楽をファッションショーに取り入れるなど、時代の流れを敏感に察知し、常に斬新なアイデアを発信し続けた。また「KENZO」を象徴したカラフルな色使いや大胆なモチーフで「色彩の魔術師」と称され、世界のトップデザイナーとして揺るぎない地位を確立していった。
特別展は姫路やパリでのショーの映像や新宝塚大劇場こけら落とし公演の衣裳、アテネオリンピック日本選手団が着用した公式ユニフォーム、デザイン画など数々の作品を展示。また、髙田さんの素顔に迫る世界初のドキュメンタリー映画「♯KENZO TAKADA」の特別映像(2021年公開予定)も公開し、日本とフランスの架け橋として活躍した髙田さんの生涯を時代と共に振り返る構成となっている。
華々しい成功の裏で、最愛のパートナーとの別れ、ブランド売却など様々な逆境を乗り越えながらも情熱を絶やさなかったその生涯は一編の映画のよう。パネルに記されている髙田さんの言葉は、私たちにより充実した人生を送るヒントを与えてくれるに違いない。
会期は8月15日まで、午前10時から午後5時まで、アクリエひめじの会議室で展示されている。入場は無料。毎日先着300人に髙田さんの遺作となったアクリエひめじ大・中ホールの緞帳で使った同じ糸をミサンガ用としてプレゼント中。(播磨時報社)