「夜ごはん」←アナウンサーは基本的に使わない表現です 生活スタイルの変化から市民権を得た言葉か

LINEで送る

この記事の写真を見る(1枚)

「夜ごはん」

 以前から気になっていたこの言葉。私は違和感があります。長いこと「晩ごはん」という言葉を使ってきましたし、今もそうです。

 一定の年齢以上の方は、特に同意してくださるのでは、と思います。(もちろんすべてではありませんが……)

「ごはん」を示す言葉としては、朝ごはん・昼ごはん・晩ごはん・夕ごはん、朝めし・昼めし・晩めし・夕めし、朝食・昼食・夕食。古くは、朝餉(あさげ)・昼餉(ひるげ)・夕餉(ゆうげ)とも言いますね。そんななかでの「夜ごはん」。いつ頃から誰が使い始めたのでしょうか。

 正確なことはわかりませんが、どうやら2000年代に入ってからのようです。ちなみに、放送や新聞の世界では「夜ごはん」という言い方はしません。「晩」や「夕」などを使用し、「晩ごはん」の後の遅い時間の食事は「夜食」としています。

「晩でも夕でも夜でも同じようなもんやん」と言う方もいるかと思いますが、そもそも「夜」と「晩」の明確な違いはあるのでしょうか? 三省堂の新明解国語辞典によりますと……、

「晩」=日の暮れ(たあと)。夜(になる少し前)。夕。

 では「夕」はどの時間帯か? 「夕」=「日が暮れて、夜になろうとする時」の意の古語形・造語形。(ちなみに「夕方」は日が西に傾いてから、あたりが暗くなるまでの間。夕刻。とあります)

 それでは今回のテーマである「夜」はというと……日のうち、太陽が沈んで暗い間。日の入りから日の出までの間。とありました。

 こうしてみていくと、微妙に時間帯が異なることがわかります。

 確かに、その昔、ご飯は夕焼けの時間帯に、家族そろっていただくことが多かったように思います。それがいつの間にか、夕焼けの時間ではなく、暗くなってから食べるようになっていました。そして、現在。夕暮れどころか、夜の8時や9時に当たり前のように食事をしていることに気づきました。時代とともに生活スタイルは変化していますし、「夜」に対しての考え方もかなり変わってきたことから、食事の時間が遅くなるのはやむを得ないのでしょうね。そしてそれがいつの間にか、言葉の変化にもつながっていった、と考えるのは言い過ぎでしょうか。

 いずれにしても早い時間帯のほうが、体を休めることもできます。理想の時間帯は「夕ごはん」あるいは「晩ごはん」と言えそうです。でも、そのうち「深夜ごはん」「深夜飯」なんていう言葉が「市民権」を得て、当たりまえのように使う時代が(既に使っている方もいるようですが……)来るのかもしれませんね。

 言葉は時代とともに、その意味も使い方も変化します。「ことばコトバ」では、こうした言葉の楽しさを紹介していきます。

(「ことばコトバ」第18回 ラジオ関西アナウンサー・林 真一郎)

LINEで送る

関連記事