94年前の神戸が舞台となった探偵活劇がタイ、インドネシアに向けて配信されることが決定した。作品は『黄金の弾丸』。
現在、神戸映画資料館サイトで有料配信されている『黄金の弾丸』は1927年1月9日公開作品。室内の部分は、西宮市甲陽園に存在した東亜キネマ甲陽撮影所で製作され、その他は神戸の市街地や旧外国人居留地、須磨で撮影されている。
とある屋敷でおこった殺人事件をめぐり探偵と大泥棒が登場し謎解きが行われる。クライマックスのカーチェイスの場面では須磨の松林から三宮までの間を走る蒸気機関車が登場するほか、神戸旧外国人居留地の貴重な映像が映し出されている。神戸開港から設けられた神戸外国人居留地は1899年に日本に返還され、それからおよそ30年。撮影当時は、まだ土地を所有していた外国人の家屋や建築物が建っており、とても貴重な映像である。
今回、活動写真弁士の大森くみこが説明、サイレント映画伴奏ピアニスト天宮遥が伴奏したものを、神戸映画資料館によって撮影。その作品が、日本の映画保存協会と、インドネシアとタイの公共機構が2021年に共同で立ち上げたオンライン配信事業である「コレクティフ・アジア」に選出され、インドネシア、日本、タイの3か国で同時に無料配信される。また、上映とともに行われるトークセッションでは、神戸映画資料館の田中範子支配人と大森くみこが作品の背景などを解説する。配信は日本時間の午後9時から。鑑賞は無料で、事前予約制(先着100人限定)。配信の詳細は「コレクティフ・アジア」のウェブサイト(https://kolektiffilm.id/kolektif-asia)を参照。