首都圏を襲った地震「帰宅困難」だけじゃない大都市特有の被害、関西でも懸念、地震学研究者に聞く | ラジトピ ラジオ関西トピックス

首都圏を襲った地震「帰宅困難」だけじゃない大都市特有の被害、関西でも懸念、地震学研究者に聞く

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 太平洋の方から圧縮応力が働いているため歪み(ひずみ)が生じる。歪みが蓄積されていくと、岩盤の弱い部分は耐えきれなくなり破壊されて地震が起こる。これが内陸型地震である。内陸型地震は深さ15km~20kmで起こることが多い。阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)、山崎断層地震がこれに相当する。

熊本地震発生後の水道管工事<2018年4月16日撮影 ※写真提供・西影裕一さん>
熊本地震発生後の水道管工事<2018年4月16日撮影 ※写真提供・西影裕一さん>
全国的に水道管の耐震対応が求められる<2018年4月16日撮影 ※写真提供・西影裕一さん>
全国的に水道管の耐震対応が求められる<2018年4月16日撮影 ※写真提供・西影裕一さん>

 今回の地震で、水道管から水道水の噴出が29か所もあったが、そのほとんどは地震動による空気弁の不具合によるもので水道管の破損ではない。

 実は16年前の(2005年)7月23日、今回の地震と同規模の地震が関東で起きている(千葉県北西部地震)。この時も交通網が乱れ、仕事帰りの交通機関の遮断・混雑により「帰宅困難者」が続出した。もっとも、この時は帰宅困難者という言葉もなく、ほとんど注目されなかった。東日本大震災が起きるとも予想がつかなかった時期である。

 ここでは10年前(2011年)の東日本大震災と比較してみる。2つの地震の共通点は、帰宅困難者が続出したことである。異なる点は東日本大震災の教訓から、役所等が自宅に帰れない人のために休憩場所を提供したことである。東日本大震災では首都圏で帰宅困難者が515万人にのぼった(内閣府推計)。

 エレベーターに多数の人が閉じ込められたようだが、最大76,000台のエレベーターが停止した可能性がある。エレベーターは停止すると復旧するのに時間がかかる。今回の地震は短周期だったので、エレベーターは小刻みに揺れ、センサーが検知し運転を停止した。東日本大震災の時は長周期の地震だったため、ビルが揺れエレベーターが壁にぶつかり停止した。いずれにしろ、大都市特有の被害である。

大阪府咲州庁舎(「さきしまコスモタワー」大阪市住之江区)
大阪府咲州庁舎(「さきしまコスモタワー」大阪市住之江区)

 東日本大震災の地震波は長い周期だったため、関西でも大阪府咲洲庁舎(現在の「さきしまコスモタワー」大阪市住之江区)は約10分間揺れ、最大の揺れ幅は2.7mもあった。そのため、エレベーターに庁舎の壁がぶつかり、エレベーターが停止した。

阪神・淡路大震災直後の神戸・三宮<1995年2月2日撮影 ※写真提供・西影裕一さん>
阪神・淡路大震災直後の神戸・三宮<1995年2月2日撮影 ※写真提供・西影裕一さん>

 南海トラフ巨大地震は、高い確率で起こり得る。他人事ではない。例えば、マンションに居住している場合は、玄関ドアをあけて出口を確保する。地震で建物が歪むと出られなくなる恐れがあるからである。普段、わかっているつもりでも、いざ、揺れに襲われたときにそうした機転が利くのかどうか。

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