南麓の西宮郷の伏流水「宮水」は、「天与の霊水」と言われ、淡麗な「男酒」を生んだ。新酒の仕込みが始まる10月には「宮水まつり」がある。霊水が発見された「梅の木井戸」の地に立つ「宮水発祥之地碑」の前で、時代装束をまとった酒造会社の代表が神事に参列し、西宮神社で「えべっさんの酒醸造祈願祭」を行う。西宮市の宮水保全条例からも、都市開発との調和を図りながら、蔵元・市民・自治体がともに水質保全に取り組む熱意がうかがえる。
西宮市の今津郷と西宮郷から、神戸市東灘区の魚崎郷・御影郷を経て、灘区の西郷(にしごう)へと続く、東西12キロにおよぶ日本最大の酒造地帯「灘五郷」の酒は、「混じり気がない酒」という意味で「灘の生一本」と呼ばれ、今も約25パーセントのシェアを誇っている。
【参考文献】
・兵庫県公式観光サイトHYOGO!ナビ
・文化庁日本遺産ポータルサイト
◆おすすめスポット
神戸市灘区 「沢の鶴資料館」
阪神大石駅から徒歩で10分ほど。江戸時代末期に建造された蔵を、酒造りの文化を広め、後世に伝えることを願って資料館として公開したのが、この沢の鶴資料館。事務局課長の牧野秀樹さんに中を案内してもらった。
館内には米作業をした洗い場や深さが2メートル近い大桶など、工程ごとに昔から使われていた道具が展示され、名称や使い方などを学ぶことができる。資料館の歴史について牧野さんは次のように述べる。
「こちらは1980年に兵庫県から『重要有形民俗文化財』の指定を受けましたが、阪神・淡路大震災により建物が全壊。全社一丸となって復旧に取り組み、1999年に再建を果たしました。その際に発見されたのが、地下構造の槽場(ふなば)跡です。槽場とはもろみから酒を搾りとる作業場のことで、地下構造となっているのは全国でも珍しいとされています」
■沢の鶴資料館
兵庫県神戸市灘区大石南町1丁目29番1号
電話 078-882-7788
営業時間 10:00~16:00
休館日 水曜、盆休み、年末年始
【公式HP】
【兵庫県公式観光サイトHYOGO!ナビ】
【文化庁日本遺産ポータルサイト】
「歴パ!ひょうご地域遺産バトンリレー」アーカイブ記事
◆『歴パ!ひょうごの地域遺産バトンリレー』 2021年10月9日放送分