やはり「曖昧な法律体系が犠牲者の苦しみに塩を塗り、さらに傷口を広げるんだなぁ」と感じるのです。だから周りの人達が、(被害者遺族に対しても)目をそらさず支えてあげてほしいとしか思えないのです。
味わった苦しみが大きすぎると、人の優しさや喜びが激しく沁(し)みます。 これは皮肉なことかも知れません。被害者遺族だから感じることかも知れません。
亡くなった者には希望も何もない。そこからの進化はなく、止まったままです。「死んだ」ことで一方的に人生を終わらされた犠牲者の意思を継ぐのはその家族です。
私は被害者遺族として再発防止に取り組むかために、いつも先頭に立ってきました。だからわかります。前に立つ者はいつも孤独です。
被告(現在は受刑者)の実刑が確定し、いったんは気持ちの区切りをつけることができたと思いますが、さまざま節目で遺族としての思いを発信している真菜さんの夫・拓也さんは今後、あらぬ誹謗中傷など「まだまだ二次被害があるのでは」と懸念はあります。
【二次被害】事故や犯罪による直接の被害に加え、被害者・遺族に対する心ない言動やインターネットでの悪口などによる、いわれなき誹謗や中傷。中江さんは事故後、インターネットでこうした誹謗中傷の書き込みに悩まされ、2013年に京都府警に刑事告訴し、当時15歳の少年が遺族に対する名誉毀損容疑で書類送検された。
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次回(10月15日・最終回)は「運転免許のあり方」を藤本尚道弁護士に聞く。