これは大人になるということなのでしょうか、成長するということなのでしょうか。<いや、違うよね。悩みも苦しみも、壁にぶち当たるようなつらい経験も、何度も思い出して後悔する出来事も、一つひとつがあなたにとってステキで大切なんじゃない?>と、この映画が話しかけているように感じます。
原作者・燃え殻はこう語っています。「よそ見をしていても構わない場面、構わない登場人物、記憶に残らない会話。僕の人生のほとんどは、そんな言葉と出会いと経験でできている。この映画を観た人が、そんな自分の中で眠っていた記憶を、やり過ごしていた出来事を思い出してくれたら、それ以上にうれしいことはありません」。
ポケベル・Stussy・ポータブルMDプレーヤー・小沢健二・ノストラダムス……、90年代のファッションやカルチャーが散りばめられていて、主人公が46歳の現在から21歳まで、時間をさかのぼりながら描きます。登場人物が若くなるにつれて心情がどんどんピュアになっていく仕掛けで、これが観る人の胸を刺激します。
まぶしく、かつ切ないストーリーですが、映画を観るあなた自身の愛しい物語と感じるはず。『ボクたちはみんな大人になれなかった』は、11月5日(金)から動画配信サービスNetflixで全世界に配信され、シネマート心斎橋・アップリンク京都など全国順次ロードショー。神戸の元町映画館では11月6日公開です。(SJ)
◇映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』
※上映日程は、作品の公式サイト・劇場情報でご確認ください。
キャスト:
森山未來 伊藤沙莉 東出昌大 SUMIRE 篠原篤 平岳大 片山萌美 高嶋政伸 ラサール石井・大島優子/萩原聖人
原作:燃え殻『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮文庫刊)
監督:森義仁
配給:ビターズ・エンド
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