「まさか、そうとは」 地元愛あふれるグローバル企業が放った広告 心にしみる意外な真意 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「まさか、そうとは」 地元愛あふれる兵庫・西宮のグローバル企業が放った広告 心にしみる意外な真意

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 世界シェアトップ、売上げの約60パーセントは海外、販売拠点85か国……。まぎれもないグローバル企業だ。しかし、その企業。日本国内どころか、本社を置く地元・兵庫県の西宮ですら存在をあまり知られていない。そこで考えた。「企業広告で知名度アップ!」決して珍しくはない手法だが、意外なのは、まさかのその真意だった。

◆驚き! “世界のFURUNO”のセカイ

“その企業”とは、「古野電気」(以下、フルノ)。1948 年に世界で初めて魚群探知機の実用化に成功。舶用電子機器で世界トップシェアを誇る。商船用レーダーの世界シェアは、実に約40パーセント。その実績などが評価され、2020年には「経済産業省認定 新グローバルニッチトップ企業100選」(電気・電子部門)にも選ばれた。国内外を問わず海洋・船舶業界でフルノを知らない人はいないと言われ、“世界のFURUNO”と称される。

 現在では、ソナーやレーダー、気象観測システム、地盤変位計測システム、ETC、無線LAN、魚群探知機の技術を応用した「骨密度測定機」などの医療用機器まで、超音波・無線・レーダー・GPS などの技術を使った製品は多岐にわたる。

実験船「ペガサス」(写真提供:古野電気)

◆あふれる地元愛。しかし……?

 フルノの特長をもう1点挙げるとするなら「地元愛」だ。日本プロバスケットボール2部「西宮ストークス」のオフィシャルメインパートナーになっているのをはじめ、企業公式サイト内に「西宮って、どんな街?」と題したページを設置。歴史や文化、スポーツ・レジャーから、暮らし、教育に至るまで西宮のあらゆる魅力が紹介されており、施設へのアクセスも「フルノから徒歩~分」など“オレの庭”感満載。試しにフルノの公式サイト内で「西宮」と検索すると、約300件もヒットした。(※1)

 しかしながら、私たちが普段“フルノ”に触れる機会は少なく、一般的な知名度は残念ながら高いとは言えない。古野電気経営企画部ブランドコミュニケーション課の曽田竜輔さんによると「地元西宮の大学に通う学生からもほとんど知ってもらえていないのが実情。『フルノデンキって…電気屋さん?』という会話が多い」のだそう。「BtoB」(企業に対してモノやサービスを提供する)企業の宿命とはいえ「地元でも知られていないのは寂しい」と曽田さんは嘆く。

◆知ってほしくて…つい。

「知ってもらいたい。地元西宮にとって親しみのある会社になりたい」そんな切なる思いから、2020年、フルノが取り掛かったのが「もっとFURUNOを知ってほしくて」プロジェクトだ。フルノは、2019年、新たな経営ビジョンの策定に伴い「ブランドコミュニケーション課」を新設。ブランド価値向上のため、2020年に映像5種によるPR第1弾を慣行。そして今月、第2弾をスタートさせた。

 手法は2つ。電車内でのPRと駅構内ビジョンでのCMだ。

 阪急電鉄の広告貸切列車「sankyuトレイン」を走らせるのは、阪急西宮北口駅を通る神戸線。また、CMを流すのは西宮北口駅構内「にしきたワイドビジョン」と、いずれも西宮北口駅をベースに選んだ。西宮北口駅はフルノの本社、そして今年の9月に竣工した、本社南側にある新研究開発棟「SOUTH WING(サウス・ウイング)」の最寄り駅でもある。

阪急電車「sankyuトレイン」のようす(写真提供:古野電気)
新研究棟「SOUTH WING」(写真提供:古野電気)
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