2021年11月。南西の空には2つの明るい星・木星と土星が存在感を示している。
11月は月に関する現象が2つ起こる。
まず、8日の日中、青空の中で細い月に金星が隠される「金星食」が起こる。ただしこの現象が起こるのは中国地方より東の地域に限られる。国立天文台のホームページによると、月と金星はおよそ1か月ごとに繰り返し近づいて見られるが、地上から見る月の通り道と金星の通り道がずれているため金星食はなかなか起こらない。また地域も限られるので珍しい現象だという。
金星は大阪では午後1時44分ごろ月に潜入し、午後2時26分に出現する。明石市立天文科学館の井上毅館長は、「日中の現象なので、観察には熟練が必要。青空に白い月を見つけることができれば、望遠鏡や双眼鏡を向けると月に隠される前後の金星が見えるかもしれない」と話す。おすすめは各天文台のライブ中継。明石市立天文科学館も予定しており、これを利用するのもいい。また、井上館長は、「金星食の後、月と金星が並んだ状態で夕暮れになる。見事な美しい光景になるはず。要チェックです」と語る。
そして19日には、「ほぼ皆既に近い部分月食」が起こる。「部分」とはいえ、月のおよそ98パーセントが地球の影の中に入り込む。
ビーバームーンと呼ばれるこの日の満月は、神戸では午後4時50分頃東の空から昇ってくる。部分食が始まるのは午後4時19分。ということは昇ってくるのは「すでに食が始まった状態」の月。これを「月出帯食」という。食が最大となるのは、午後6時3分。ほぼ皆既に近い状態となる。「このころには空も暗くなり、赤銅食の月が空に浮かんで幻想的になると思う」と井上館長。部分食が終わるのは午後7時47分。肉眼でも十分に楽しめそうだ。「5月の皆既月食は見えない所が多かったので、今回は期待したい。日没後間もない時間帯は空も明るく観察は難しいが、徐々に空が暗くなると月の位置も高くなり、欠けた月を確認できるでしょう。双眼鏡を使うのがおすすめ」(井上館長)。また、この様子も明石市立天文科学館ではライブ中継する予定。
ところで、11月18日には、しし座流星群が極大を迎える。ただ出現数が少なく、満月に近い月明かりがあるので、その姿を捉えるのは難しそうだ。
皆既月食。もういっぱいすばらしい写真が発表されていますが、記念として。。。中継動画から静止画を取り出しました。天王星が写っています。 pic.twitter.com/FxZOcVvP8x
— 井上毅(いのうえたけし) (@INOUE_Takeshi_) October 11, 2014