西島秀俊さん、内野聖陽さん主演、お腹も心も満たすドラマとして話題を呼んだ「きのう何食べた?」が、ついに劇場版として公開されました。今作を、映画をこよなく愛するラジオパーソナリティー・増井孝子さんが解説します。
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「きのう、何食べた?」と聞かれたら、とっさには答えが出てこない。「ん? 認知症のテストなのか?」いやいや! テレビで好評を博し、劇場公開映画になった作品のタイトルだ。
2019年4月、テレビ東京系の深夜30分枠でスタートするや否や、ツイッターの世界トレンドの1位に躍り出た。見逃し配信は全12話で100万回超え。そして、2020年には正月特番になり、今回ついに劇場公開される映画になった大ヒット作品である。原作は、よしながふみの人気漫画。2007年に連載が始まり、電子版を含めると815万部という大ベストセラーコミックの実写版だ。
“シロさん”こと筧史朗(西島秀俊)は、町の小さな弁護士事務所に勤める弁護士。仕事ぶりはいたって真面目で的確。けれど仕事にやりがいは求めておらず、恋人との生活を大事にする、料理好きで倹約家、クールだけどマメで面倒見がよく優しいという45歳である。
そのシロさんの恋人というのが、美容師の“ケンジ”こと矢吹賢二(内野聖陽)。美容室「フォーム」で働く。人当たりが良いうえに明るくて素直。恋人が同性であることもオープンにしていて、趣味嗜好は乙女チック。史朗の作る料理が大好きでベタ惚れ状態だ。
そう、ゲイのカップルが主人公のお話。最近はドラマや映画に登場することも多くなった。LGBTQへの理解も進んできていて、国内でも同性のパートナーシップ制度を設けている自治体が増えつつあるものの、まだ偏見を持って見られることも少なくないようだ。
史朗の父親の筧悟朗(田山涼成)と母親の久栄(梶芽衣子)も、理解しようと努力はしているが分かっていない部分も多く、息子が実家に連れてきた賢二を、息子のパートナーとして受け入れることに戸惑いを隠せない。ギクシャクしてしまうこともある。
劇場版「きのう何食べた?」
11月3日(水・祝)より全国東宝系にて公開
※各劇場の上映日程は、作品の公式サイト・劇場情報でご確認ください。
監督:中江和仁
脚本:安達奈緒子
原作:よしながふみ『きのう何食べた?』(講談社「モーニング」連載中)
<出演>
西島秀俊 内野聖陽
山本耕史、磯村勇斗、マキタスポーツ、松村北斗(SixTONES)
田中美佐子(友情出演)、田山涼成、梶芽衣子
©2021 劇場版「きのう何食べた?」製作委員会 ©よしながふみ/講談社
【公式サイト】