第二次世界大戦後、家庭でのテキスタイルの需要が高まるにつれ、フィンレイソン社を始めとする主要なテキスタイル工場が、デザイナーや芸術家たちとの協働する機会が増えていきます。そんな中、1951年に創設されたマリメッコ社は、「自然体の女性」をコンセプトに掲げ、優れた若いデザイナーを積極的に採用して、これまでにないカラフルで大胆なテキスタイルの表現を打ち出し、フィンランドのテキスタイル業界に新風を吹き込みました。その後、巧みな広告戦略もあり、マリメッコ社は世界中で愛されるフィンランドを代表するテキスタイルメーカーとなりました。
そして、1960年代、近代的な消費社会を迎えたフィンランドでは、平等と民主主義が浸透し、個人主義の観念が強くなっていきます。独自のスタイルが求められるようになっていき、その大きな役割を担っていくのが、ファッションや広告でした。そして、フィンランドは世界屈指の社会福祉国家へと成長し、2018年より四年連続で「世界幸福度ランキング」第1位に選ばれるなど、若手や女性たちの活躍が目覚ましい社会を創り上げました。
秋の深まる丹波篠山の山々に囲まれた兵庫陶芸美術館で、厳しくも豊かな自然と、美しく洗練されたデザインとともに暮らし、その創意工夫に満ちたフィンランドの人々のライフスタイルに触れ、私たちの暮らしのヒントを見つけていただければ幸いです。
(兵庫陶芸美術館学芸員・マルテル坂本牧子)
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◆ザ・フィンランドデザイン展-自然が宿るライフスタイル-
会場 兵庫陶芸美術館(兵庫県丹波篠山市今田町上立杭4)
会期 ~2021年11月28日(日)まで
開館時間 10:00~18:00(入館は閉館時間の30分前まで)
休館日 月曜
観覧料 一般1000円、大学生800円、高校生以下無料
電話 079-597-3961(代表)、FAX 079-597-3967