室町時代の中期になると幕府は実力を失い、山名氏と細川氏が8代将軍・足利義政の跡目争いに加担して応仁・文明の乱が起こった。当時山名一族は66か国中、11か国の守護を務めていたので「六分一殿(ろくぶいちどの)」と呼ばれていた。日本の国の6分の1を支配していた山名氏の本拠が、但馬の出石だった。
出石神社北東の小高い丘に、山名氏の此隅山城跡がある。戦争が激しくなると小高い丘では守り切れないので、出石盆地の南側の高い山の上に有子山城を作った。戦国時代には多くの城が、落とされにくい山の上に築かれた。再び平和な時代がやってくると、経済、政治の中心地で便利な有子山の北麓にお城を移してきた。出石ではこのように、室町、戦国、江戸の3時代の城跡を見ることができる。
【著名人を輩出した但馬】
・沢庵和尚
冬の保存の漬物タクアンは、彼の発案だと伝わる。大徳寺の最高位まで上り詰めた沢庵和尚は、出石出身。宗鏡寺で修業をした。
・桜井勉
内務卿・大久保利通の側近で廃藩置県を実行していった。天気予報を創始し、後に徳島県、山梨県の知事に。
・斎藤隆夫
衆議院本会議で堂々と2度軍部を批判し除名されるが、再度衆議院議員に当選。戦後復興期の国務大臣を務めた。若いころには、但馬から歩いて東京へ行き、尊敬する桜井勉を訪ねて書生になり修業した。
・加藤弘之
最初の東京大学の総長。
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他にも、「日本の土木文化の聖地」や、城崎温泉など、すごいお宝がいっぱいある但馬。その魅力をもっと発信していきたい。そして、多くの人に訪れて欲しいと思う。