「年俸」の読み方は? プロ野球選手の年俸に絡む裏話に「なるほど!?」

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 プロ野球選手の契約更改が始まっていますね。そこで登場するのがこの言葉。ねん「ぼ」うではなく、ねん「ぽ」うです。「棒」という漢字と似ているため少し紛らわしいのですが、「ねんぽう」です。

プロ野球選手の契約更改でもおなじみの言葉「年俸」

 さて、なぜ1年間にもらうお金のことを「年俸」というのでしょうか?

「年俸」は、『広辞苑 第七版』(岩波書店)には「年ごとに定めた俸給。また1年分の俸給」と書かれています。そもそも「俸」という字には「職務に対して与えられるもの。扶持米。給料」(広辞苑)という意味がありますので、そこに「1年間」を表す「年」を付けた「年俸」が、「1年間の職務に対して与えられる給料」ということになるわけです。ちなみに「扶持(ふち)」とは、かつてよく使われていた言葉で、給料として米や銭を与えるという意味です。

 現在、給料を「月給」で受け取っている方も多いかと思いますが、中には「年俸制」を導入している企業もあります。特にスポーツの世界は年俸制が主流。前年の成績に連動する形で翌年の額(給料)を決め、選手と契約しています。

 ここで、スポーツ選手の年俸に絡む話を1つ。

 プロ野球の契約更改では、選手と球団が交渉を行った後に記者会見を行う場合が多く見られます。(ない場合もあります)そこでの私たちアナウンサーや記者の関心は、今季の評価点や来季への目標などはもちろん、どうしても「この選手は、どれくらいの金額で来季の契約に至ったのか?」という点に集まります。

 ご存知の方も多いかと思いますが、選手の年俸を伝えるニュース画面や記事には、ほぼ必ず「金額は推定」と書かれています。これ実は、「いくらです」と具体的な額を示す選手がほとんどいないからです。

 では、どのようにして金額をはじき出すのでしょうか? かつては会見で、選手と記者がこんなやり取りをしていました。

――大台には乗りましたか?

【選手】 もう少しですね。

――少しというのは……何が買えますか?

【選手】 車、1台くらいですかね。

――それはかなりの高級車?

【選手】 いや…「軽」くらいですかね…。

――なるほど。

 記者は、前年の推定年俸を土台に、会見でのやり取りなどを加味して今回の推定金額を算出します。しかし、そもそも前年の額を読み間違うことも。「実はあの時これだけもらっていました」と、本人が引退後に話して事実がわかった、ということもありました。

 最近は金額をはっきりと言う選手も現れ、前出のようなやり取りは減ってきました。年俸をめぐる報道も変わってきました。とはいえ、いつの時代も他人の「懐事情」は気になるものです。

 言葉は時代とともに、その意味も使い方も変化します。「ことばコトバ」では、こうした言葉の楽しさを紹介していきます。

(「ことばコトバ」第29回 ラジオ関西アナウンサー・林 真一郎)


◆「ことばコトバ」アーカイブ記事

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