兵庫県には、文化庁が認定した「日本遺産」が9件、国指定史跡のお城が22城あり、いずれも全国最多を誇る。また、1000を超す城跡や播磨国風土記など、個性豊かな地域遺産を数多く有している。そうした兵庫の歴史を学びながら、周辺のおすすめスポットを計15回のシリーズで紹介する。
【第14回】歴史文化遺産・国宝太山寺
播磨には、兵庫県内にある6か所の国宝建造物全てが集中している。神戸市西区伊川谷町にある天台宗「三身山 太山寺」(さんしんざん・たいさんじ)も、現在の住所こそ神戸市だが、旧国では播磨に含まれる。
薬師如来と十一面観音を本尊とする太山寺は、藤原鎌足の子・定恵の開山、孫・藤原宇合(うまかい)の建立と伝えられ、「新西国三十三箇所」の第25番札所となっている。
国宝に指定されている現在の本堂は、鎌倉後期、1285年の火災で焼失後、1300年ごろに再建されたもの。入り母屋造りに銅板葺きの屋根、人の空間である「外陣(げじん)」と仏の空間「内陣」を格子戸による結界で分ける「中世密教仏堂」の典型を成している。三重塔も県の文化財に指定されている。
南北朝時代には支院が41坊あり、末寺8寺、末社6社を擁した中に多数の僧兵を抱える繁栄ぶりだったそう。また、仁王門や阿弥陀如来坐像など、国の重要文化財を19件も擁するのも驚きだ。
太山寺の魅力は、仏像や庭園、建物だけではない。境内の内外には、県の天然記念物である原生林が11ヘクタール近くも残っていて、周辺の約56ヘクタールは「太山寺風致地区」として保護されている。「ひょうごの森百選」にも選ばれており、春は桜、秋は紅葉の名所として知られる、市民のオアシスだ。
そんな太山寺。新西国三十三箇所の札所の一つだが、「西国」に「新」が付いている通り、従来の「西国三十三所」とは別の、新たな枠組みなのはご存じだろうか。「西国三十三所」のルーツが今から1300年もさかのぼるのに対し、「新西国」の歴史はわずか90年ほど。江戸時代以降の西国札所巡りの際によく立ち寄られた観音奉安寺院の中から選んだもの。制定したのは、神戸新聞社など京阪神に発行本社を置く「三都新聞連合」だった。
【神戸美人ぬか 米ぬかハンド&スキンクリーム公式サイト】
【兵庫県公式観光サイトHYOGO!ナビ】
【文化庁日本遺産ポータルサイト】
「歴パ!ひょうご地域遺産バトンリレー」アーカイブ記事
『歴パ!地域遺産バトンリレー』2021年11月13日放送分