面倒くさがりなもので、レシピをもとに料理を作っているときに「小さじ2」という表記を見ると、素直に小さじではかって2杯分を入れるか、横着をして大さじ3分の2杯分を入れるかで迷ってしまいます。そんなとき、大さじ小さじの間の「中さじ」があれば便利ですし、あっても不思議ではない、と思いませんか? 売っているところをあまり見かけませんが、周囲の人に聞くと、中さじの計量スプーンを見たことがあるという人もいます。中さじは実際に存在するのでしょうか。お菓子・料理研究家の森崎繭香さんに聞いてみました。
「日本では基本的に大さじ(=15ml)・小さじ(=5ml)でやってきました。海外に目を向けると、アメリカはテーブルスプーン(=15ml、大さじ)、ティースプーン(=5ml、小さじ)の2つで日本と同じです。一方で、フランスにはスープスプーン(=15ml、大さじ)、デザートスプーン(=10ml)、コーヒースプーン(=5ml、小さじ)というものがあります。フランスのレシピでは、この10mlの“中さじ”を使うものがときどき出てくるので、それにならって日本でも中さじという表記をしていた書物などもあったのではないでしょうか」(森崎さん)
フランスにデザートスプーンがあった影響で、日本に「中さじ」のスプーンが存在したのではないか、ということですが、日本のそれには2種類あるそうです。大さじと小さじの中間として「10ml」のものを販売するメーカーがある一方、大さじ2分の1として「7.5ml」のものを販売するメーカーもあったのではないか、と森崎さんは推測します。また、「10mlのものと7.5mlのものの2種類があるため混乱が生じ、今ではほとんど見なくなったのではないでしょうか。もし、15mlでも5mlでもないスプーンを持っていたら、そのスプーンの容量が小さじ(5ml)2杯と同じなのか、大さじ(15ml)の半分と同じなのかをはかってみると10mlか7.5mlか判明します」ということです。
仮に、3本セットの計量スプーンが売られている場合、大さじ、小さじ、茶さじ(小小さじ=小さじの2分の1)という構成が一般的だそうです。中には、「大さじ、小さじ、茶さじ」の3本を「大さじ、中さじ、小さじ」だと勘違いしてしまう人がいるそうで、森崎さんによれば、「小さじの分量のところを、茶さじを使って調理してしまい、味が薄かった、というのはよく聞く」らしいです(笑)。
調べてみた結果……どうやら中さじはないものと考えておいた方が良さそうです。最後にもう1つ、調味料を量るときに役立つ知識を聞きます。レシピ本の中で「塩をひとつまみ」「砂糖を少々」などという言葉を目にしますが、初心者にはあまりピンとこないこともありますよね。森崎さんによれば、「『ひとつかみ』は、片手で軽くつかむ。『ひとつまみ』は親指・人差し指・中指の3本でつまむ。『少々』は親指と人差し指の2本でつまむようにすればいい」そう。目分量でササっと料理ができたらカッコいいですよね。料理初心者も、この3つを頭に入れておけば怖くない!?
■森崎 繭香(もりさき・まゆか)
レシピ本の出版を中心に、雑誌やウェブへのレシピ提供、メディア出演など幅広く活動中。『米粉で作るうれしい和のおやつ』『あんこのおやつ』など著書多数。運営するオンラインショップ「one’s daily」では、ヒトとワンコが毎日いっしょに食べられる無添加おやつとごはんを販売。