兵庫・大阪北部エリアでは「コープさん」「生協さん」の愛称で親しまれている、組合員171万人を誇る日本最大規模の生協、生活協同組合コープこうべ(神戸市東灘区)。その“コープさん”と組合員をつなぐ、宅配で配られるカタログや折込チラシなどを主に制作しているのが、食品カタログをメインに扱う印刷会社の株式会社甲南堂(神戸市中央区港島)だ。
甲南堂は、1929(昭和4)年創業。「まちの小さな印刷所」としてスタート。時代の流れとともに発展を遂げ、2018年に神戸市東灘区から現在のポートアイランドへ移転。創業90周年の2019年にそれまでの社名の「甲南堂印刷」から“印刷”の二文字を外して「甲南堂」に変更した。
代表取締役社長の水落充さんは「印刷会社の枠を超えていろいろな分野に対応できる会社を目指すため」と社名変更に込めた思いを話す。
その狙い通り、現在は印刷にとどまらず、広告販促物の企画・編集からカタログなどのグラフィックデザイン、ウェブサイト構築やフードフォトなど幅広く事業を展開している。
特にコープこうべとの関わりは50年以上におよび、2008年に設立した自前のフォトスタジオ「御影スタジオ」では、カメラマン3人とフードスタイリスト3人が常駐。料理写真をメインに扱いつつ、組合員のもとに届けられるカタログの写真を中心に日々撮影している。“フード撮影に強いスタジオ”として着実に信頼を得ている。
ペーパーレス化、インターネットの普及で印刷物そのものの需要は落ちており、価格破壊による競争激化も進んだ。業界の状況は厳しいが、水落さんは「ペーパーレス化で印刷物の需要は減っても、スマホ・インターネットでの写真・画像の需要はなくならない。“見て買いたくなる・感動する写真”を追求し、撮影技術のレベルアップを図っていきたい」と意気込む。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2021年11月23日放送回より
【2021年11月23日放送回…放送音声】