神戸市のつくだ煮メーカー「マルヤナギ小倉屋」と、兵庫県加東市のJAみのり、加東市、さらには兵庫県内のベーカリーが連携し、もち麦を使ったパンの開発・販売プロジェクトがスタートした。
「もち麦パンプロジェクト」は、2017(平成29)年から加東市で栽培されている国産もち麦「キラリモチ」を使った「もち麦パン」を育成するというもの。
12月7日に行われたプロジェクト発表会見で、加東市の安田正義市長が「加東市で栽培している従来の品種は『シロガネコムギ』だった。2017年11月に『キラリモチ』に取り組み、今年5月に4回目の収穫ができた。初めての作物には不安もあったが兵庫県やJAそして何よりも農家さんの努力のおかげでここまで来た。実は加東市職員60名が実際にもち麦の健康に対する効果の共同研究をしており、今後は各企業さんとも協力し合って商品化して加東市の特産品として売り出していきたい」と語る。
一方、煮豆・こんぶ等のつくだ煮メーカーとして今年で創立70周年を迎えたマルヤナギ小倉屋。「伝統食材のおいしさを次の世代へ」を企業メッセージに託す同社は、食物繊維が豊富な豆やもち麦などにいち早く注目したという。
「ひょうごのもち麦『キラリモチ』には現代の日本人が慢性的に不足しがちな水溶性食物繊維(β-グルカン)が従来品種のもち麦に比べて多く含まれている。しかも毎日たべたくなるほどおいしい」というのは、「もち麦パンプロジェクト」の推進責任者を務める、株式会社マルヤナギ小倉屋の柳本勇治代表取締役副社長。「現代のパン食文化浸透から久しいが、これからは『健康志向』のもち麦パンが望ましいと開発に取り組んだ。パンに消費量が押されがちのごはん需要の一助としても、粒が大きく炊飯時に色が変色しにくい『キラリモチ』をぜひご飯に混ぜて食べてほしい」と、もち麦パンをPR。
また、同社では顧客ニーズにも応え、もち麦を使用したうどんやパスタも製麺会社と共同開発に取り組んでおり、『機能性表示食品』として発売を予定しているという。柳本副社長の「パンだけでなく(消費需要の多い)麺にも応用したい」という要請に応えた、カネス製麺株式会社(たつの市)の大谷聖代表取締役社長は「おいしいだけでなく、からだにいい機能性表示食品の認証を取得するための特別な配合を施している」と話す。
「もち麦パンを日本の健康パンへ」というのは、今回の「もち麦パンプロジェクト」に尽力する1人、神戸北野「サ・マーシュ」の西川功晃オーナーシェフ。「パン特集はもとから注目度が高く電波や紙媒体で高確率でヒットするアイテムではあるが、改めて『安心・安全』な食べ物であるべきだと感じている。国産食品の安全性は皆、認めるところだが、遠く(例えば北海道)から食材を運ぶにはエネルギーを消費する。できるだけ近く(加東市)で調達できることが望ましい」と、地元産のもち麦の重要性を強調。