世界では歴史的に一弦琴が存在するという。古代ギリシャでは、数学者・ピタゴラスがモノコードという一弦琴を弾き、その振動を利用して音律を計測したといわれている。このほかの一弦琴として、中世ヨーロッパにはトロンバ・マリーナ、ベトナムにも民族楽器・ダンバオがある。
京都市立芸術大学・柿沼敏江名誉教授(西洋音楽史)は、一弦琴の音楽的評価として「1つの弦しかないからこそ、様々なテクニックのもと、多様な表現ができる。一弦琴の場合、ほとんどが和歌など詩(唄)が付き、詩の内容や四季折々の変化を楽しむことができる。1つの弦で十分に音楽を表現できる」と可能性の広がりを指摘する。
新型コロナウイルスの猛威により、芸術の世界では表現する機会が皆無となった。身動きが取れない中、どうやって活動を続けるのか。「一絃須磨琴保存会」では去年(2021年)、動画サイト"YouTube(ユーチューブ)"でのレクチャーや演奏を配信するなどの活動を試みた。しかし、これだけでは演奏技術の伝承は進まず、須磨琴の存在を世に知らせる機会がなくなってしまう。そこで兵庫県芸術文化協会主催の「学び塾」への参加や、感染対策に配慮しながら体験教室を受け付けるなど、さらに発信を強めて行くという。
■変化を感じ、歩みは止めず
「一絃須磨琴保存会」副会長を務める須磨寺の小池陽人(ようにん)・副住職は「緊急事態宣言が解除された10月から、対面での稽古は何とか再開できた。先生と1対1で、対面での稽古が大切だが、保存会の会員が高齢化しているだけに、コロナ感染防止の観点で配慮を重ねるなど、稽古のあり方が問われた2年間であった。保存会発足時のメンバーも高齢となり、どう盛り上げて世代交代につなげるかも課題となっている。若い人にも親しんでいただけるような形にして行きたい」と話し、変化を感じながらも少しでも歩みを止めぬ活動を目指す。
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■御寺・泉涌寺での奉納演奏
