あと1か月足らずでバレンタイン。「自分チョコ」を買う人も増えるなか、女性にも魅力的なオリジナルバレンタインスイーツが登場している。
個性的なバレンタインアイテムを展開するのは、20色を揃える「推し色クリームソーダ」がSNSで話題となった兵庫県西宮市の喫茶店「不純な喫茶 花と寅」。店は、紫をイメージカラーに展開するレトロで妖しい雰囲気、それでいてホッとひと息つける空間。通販を中心に販売中の焼き菓子も人気で、全国にファンを持つ。
今年のバレンタインアイテムは、作家とコラボしたミニ缶入りスイーツ8種と、焼き菓子部門「ハナトトラオカシブ」オリジナルデザインの商品2種の、合わせて全10種。
ミニ缶は手のひらサイズ。デザインは、8人の作家書き下ろしの8柄が揃う。店からの依頼や公募で選ばれた。
中に入れるスイーツも、それぞれイラストに合わせたオリジナル。例えば、バラの花が象徴的な缶には「赤バラクッキーチョコサンド」、ギリシャ神話に出てくる美少年「ナルシス」をあしらった缶には、キャンディで水面を表現した「ナルシスの水面クッキー」、“エログロ”な少女のイラストの缶には「いちごマーブル脳みそクッキー」という具合だ。他にも、口の中で弾けるキャンディーを忍ばせたくちびる型のチョコレートや、ハートの小窓を付けたトラ柄のマーブルクッキーなどバラエティ豊か。店主の福山貴子さんは、「攻めた感じ」と話す。
「ハナトトラオカシブ」オリジナル商品のイラストは、普段からオカシブのデザイン全般を手がける西本百合さんが担当。ラインダンスを踊る5匹の愛らしい子トラが描かれている。商品は、架空のレビューシアター「トラノコシアタァ」の土産物をイメージ。缶にはガトーショコラを入れて紅茶とセットに、マグカップにはチョコドリンクスティックを添える。
実は今年のバレンタインには、福山さんの特別な思いがこもっている。コロナ禍で展示などの機会を失った作家に、作品発表の場にしてもらいたいという願いだ。「作家さんには、作品がグッズになったことを喜んでいただける。これまでの企画でも、絵柄を気に入って買ってくださる方や、複数集めて自宅でグループ展のようにされる方がいらっしゃった」という。昨年、コロナ禍で閉店の危機に陥った際、クラウドファンディングを通じて自身も支援を受けた福山さん。「缶も中身も満足度の高いものを作りたい。作家さんとの“真剣勝負”です」と目を輝かせた。